柳宗悦の思想に迫る新刊
2025年8月25日、NHK出版から『柳宗悦美を生きた宗教哲学者』が刊行される。この著作は、著名な批評家・若松英輔によって、民藝運動の主唱者である柳宗悦の思想に深く迫った本格的な評伝である。柳宗悦とは何者なのか、そして彼が生み出した「民藝」の美とはどのようにして人々の心に響くのか。本書はその魅力を余すところなく描いている。
柳宗悦とは?
1910年代に活躍した思想家である柳宗悦は、日常的に使われる雑器を「民藝」と名付け、その美しさに「救い」を見出したことで知られている。彼は、目には見えないもの、すなわち感情や信念、文化を大切にし、それを美として表現することを重視した。柳は、物の背後にある人々の心情に着目し、その美が人を癒し、導く力があると信じていた。
『柳宗悦美を生きた宗教哲学者』の構成
本書は、全二部から成り、柳宗悦の前半生の探求から始まる。第一部では、彼の原点や宗教哲学の道について詳細に掘り下げている。特に注目すべきは、彼が友人である朝鮮の人々との交流し、どう美を通して心と心をつなぎ直したのかという点だ。そして「民藝」という概念がどのように誕生したのかを解説。
第二部では、彼の後半生における活動に焦点を当て、琉球の文化とのつながりや、手仕事の重要性について考察が進む。また「救いは誰にも開かれている」という信念は、柳の人生と作品の核心を成すものであることが示され、その深さに迫る構成となっている。
若松英輔の執筆スタイル
若松英輔は、批評家としての目線から、柳宗悦の生涯を時系列に追いながら、その全体像を浮き彫りにしていく。文学、哲学、宗教といった多様な視点を取り入れたアプローチは、読者に新たな理解をもたらす。柳の思想の根底にある「美」と「信」の結びつきは、歴史を超えた普遍的なテーマとして描かれている。
出版情報
この本は、NHK出版が発行する長い歴史をもつ「NHKブックス」シリーズの最新刊であり、定価は1,980円(税込)で340ページが収められている。洗練されたデザインとともに、読者に深い洞察を提供する一冊となるだろう。
柳宗悦の思想と、自身の生涯を通して人々に「美の救い」を伝えようとした彼の試みは、今また多くの人々に影響を与えることだろう。読者はこの書籍を通じて、彼の豊かな思想に触れ、新たな視点を得ることができる。
この新刊を手に取ることで、柳宗悦の深い哲学と美の感覚を理解し、私たちの生活に取り入れる方法を考える契機となることを願っている。詳しい情報はNHKブックスの特設ページや、ECサイトにて確認できる。