発電機能を備えた世界初の有機ELディスプレー開発
NHK放送技術研究所と千葉大学、京都大学の共同研究によって、「発電機能を備えた有機ELディスプレーデバイス」が誕生しました。この画期的な技術は、1つの素子で発光と太陽光発電を切り替えて利用できる点が最大の特徴です。特に、青色の発光を実現したのは初めての試みにあたります。
発光と発電の両立
これまで、発光と発電は逆の過程を経るため、1つのデバイスに両方を搭載することは難しいとされていました。しかし、新たに開発されたデバイスでは、高い発光効率と強い光吸収特性を有する「MR-TADF材料」を用いることで、両機能を共存させることに成功しました。これにより、発光時に必要なエネルギーを精密に制御しながら、同時に太陽光発電も行える技術が実現したのです。
実用化に向けて
このデバイスは、赤、緑、青の3色の発光を実現し、さらには可視光域全体での発電も可能です。将来的には、発電した電力を再利用して、災害時など電源がない状況でも映像を表示できるディスプレーが期待されています。また、さらなる高効率化や耐久性の向上に向けた研究も進行中で、より消費電力の少ないディスプレーが目指されています。
開発の背景と技術
有機物を用いた半導体技術は、発光機能を持つ有機ELや発電機能を持つ有機太陽電池に広く利用されています。これまでも、フレキシブル有機ELディスプレーの技術が研究されてきました。この新技術にもそのノウハウが生かされています。
技術開発においては、電荷注入材料やデバイス作製技術が活用されています。また、長寿命化に向けて、柔軟なプラスチックフィルム上での安定した発光を可能にする研究も重ねられてきました。このような積み重ねが、発光と発電の両立したデバイスの開発につながったのです。
未来への展望
この技術の成果は2026年に、「Nature Communications」に掲載される予定で、世界的に注目を浴びることでしょう。エネルギーを効率的に利用し、災害時の情報提供に役立つ新たなディスプレー技術の実用化に向けて、さらなる研究が待たれます。新しい視聴体験をもたらすこのデバイスが、我々の生活をどのように変えるのか、今後の進展に期待が高まります。