新国立劇場が贈るベルク「ヴォツェック」、一世を風靡した20世紀オペラの名作

新国立劇場の秋の新制作オペラ「ヴォツェック」

新国立劇場（東京・渋谷区）が、秋の注目作としてアルバン・ベルクの名作オペラ『ヴォツェック』を新制作することが発表され、オペラファンの間で大きな期待が高まっています。指揮は大野和士芸術監督が自ら務め、演出に名高いリチャード・ジョーンズを迎え、豪華キャスト陣で臨むこの作品は、20世紀オペラの金字塔とも称される傑作です。

ベルク『ヴォツェック』の魅力

アルバン・ベルクが1925年に初演した『ヴォツェック』は、社会の不幸と苦悩を描いた衝撃的なオペラです。作品の中心に位置するのは、貧困にあえぐ兵士ヴォツェック。彼は精神的に追い詰められ、内縁の妻マリーとの関係も崩壊していきます。このオペラは、貧困や差別、そしてその結果としての人間の破滅をテーマにしており、今日においても深いメッセージを持っています。

ベルクは、シュプレヒゲザングと呼ばれる歌と語りの境界に位置する技法を駆使し、スピーディーで緊張感あふれる各幕を構築しました。これにより、聴衆はヴォツェックの悲劇的な運命に引き込まれ、心を揺さぶられること必至です。音楽性も非常に高く、叙情性に富んだメロディーが悲劇をより一層引き立てます。

豪華キャスト・スタッフ

主演のヴォツェック役には、これまでこの役を多くの演目で歌ってきた世界的なスター、トーマス・ヨハネス・マイヤーが登場します。彼は2009年の新国立劇場『ヴォツェック』でもこの役を演じており、観客を惹きつけるその表現力には定評があります。また、共演にはキャラクター・テノール界のトップアーティスト、アーノルド・ベズイエンが大尉役で登場。さらに、講演には大野和士とジョン・ダザック、伊藤達人といった日本および国際的に活躍する一流の歌手陣が揃い、観客に圧巻のパフォーマンスを提供します。

演出を手掛けるリチャード・ジョーンズは、英国で数々の舞台賞を受賞したカリスマ的存在であり、彼の手による新しい演出にも注目が集まります。それにより本作品がどのように表現されるのか、今から楽しみです。