驚きのプロバレエ界を描いたドキュメンタリー
「家賃6万円、家具なしバレリーナ」という衝撃の言葉に、あなたはどれだけのリアリティを感じるだろうか。この言葉は、プロバレエ団の実情を映し出すドキュメンタリー書籍『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』から抜き出したものだ。この書籍は、実際に密着取材を行ったディレクターの渡邊永人さんの視点を通して、私たちが知らなかったプロの舞台裏を描いている。
バレリーナたちの厳しい現実
本書では、一般的に華やかなイメージを持たれがちなバレエ界の厳しい側面を取り上げている。新人バレリーナは「トウシューズを買うのも苦しい」と打ち明け、週に5日もアルバイトをしなければならない状況を語る。また、芸術監督が「給料制にできませんか?」という禁忌の質問を投げかける場面もあり、それはこの業界の過去の慣習や制度の中で難しい問題であることを示唆している。
ドキュメンタリーの波紋
2023年6月に谷桃子バレエ団が配信を開始した「禁断密着プロバレエ団」のドキュメンタリー動画は、瞬く間に多くの視聴者の注目を集め、バレエファン以外の人々にも影響を与えた。視聴者からは「こんな世界だとは知らなかった」との声が上がり、バレエに対する興味を引き出す結果となった。こうした反響は、今まで詰まっていたフィルターを取り払い、多くの人々にバレエの魅力や現実を知ってもらうきっかけとなった。
驚異のチケット売上
密着取材から1年が経過した2024年、その成果が早くも現れた。新春公演『白鳥の湖』には、バレエに全く触れたことがない観客が集まり、会場がかつてない熱気に包まれた。そして、密着動画が公開されてからの初となる公演チケットは、発売開始からたった4時間で完売した。これは日本のバレエ業界において、異例の出来事であり、谷桃子バレエ団の取り組みが評価されている証でもある。
各界からの評価
本書の著者、渡邊永人さんは、自身の体験からの感謝の言葉を述べている。「重版の連絡を受けた際、疲れも吹っ飛ぶほど嬉しかった」といい、応援の手が多方面から寄せられる中で、思いを伝えることの重要性を感じているという。また、本書に寄稿した小野あつこさんは、動画を見たことがきっかけでこの本を手にしたと明かし、バレエ界のリアルを知る上で非常に価値のある作品だと称賛している。
まとめ
『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』は、圧倒的なリアル感と衝撃を多くの読者に与えている。この書籍は、バレエに対する新たな視点を提供する一方で、業界の厳しさや裏側を赤裸々に描き出しつつ、希望のあるメッセージも届けている。バレエファンのみならず、広く多くの読者に手に取ってほしい作品だ。ぜひ書店やオンラインショップでチェックしてみて欲しい。