伊豆の地で静かに生きる山野井妙子
アルパインクライマーである山野井妙子さん。彼女が手掛けたノンフィクション『凪の人 山野井妙子』が11月18日に発売される。この本では、彼女の過酷な半生と、伊豆での穏やかな暮らしについて深く掘り下げられている。
山野井妙子さんは、女性として初めて冬季にグランド・ジョラス北壁を登攀し、1994年にはチョ・オユー南西壁を登るという輝かしい登山歴を持つ。しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。高峰での二度の危機的な経験を通じ、彼女は大きな代償を払うことになった。
1991年、マカルーに挑む中で仲間の死を経験し、自身も重度の凍傷に見舞われ、両手足の指の多くを失うという厳しい試練を乗り越えた。また、2002年には夫・泰史さんと共に挑んだギャチュン・カン北壁で、命がけの脱出を強いられた。これらの経験は彼女に強さをもたらす一方、苦しみも伴った。
それでも、山野井さんは決して穏やかさを失わなかった。現在、彼女は静岡県伊豆・川奈で、泰史さんと共に日常的に畑を耕し、海で魚を釣りながら、地に足をつけた生活を送っている。その中で、彼女はどのように「今」を、そして「生きる力」を育んでいるのか。
本書では、これまで語られなかった少女時代から山への情熱、そして極限の状況からの生還を経て、現在の穏やかな暮らしに至るまでの軌跡が語られている。
目次の概要
- - プロローグ: 現在の伊豆での生活
- - 第一章: 彼女の原風景と少女時代
- - 第二章: ヨーロッパアルプスへの憧れ
- - 第三章: マカルーの登山と仲間の死
- - 第四章: 新生活の始まり
- - 第五章: 世界での挑戦の旅
- - 第六章: 極限からの脱出
- - エピローグ: 変わらず「今」を生きる姿
この本は、彼女の生き様と強さの源泉を探る試みであり、彼女を知らなかった読者にとっても、深い感動を呼び起こすことでしょう。
著者プロフィール
本書の著者である柏澄子さんはフリーライターで、数々の登山に関する著書を手掛けてきました。登山ガイドの資格も持ち、女性の登山に関する歴史にも詳しい。彼女の筆によって、山野井さんの魅力が余すところなく描かれています。
書誌情報
書名: 凪の人 山野井妙子
著者: 柏 澄子
発売日: 2025年11月18日
定価: 1,980円
仕様: 四六判並製、320ページ
この一冊を手に取り、山野井妙子さんの人生を体感してみてはいかがでしょうか。彼女の生き様は、きっと多くの人々に勇気を与えるはずです。