企業のサイバーセキュリティを強化する新たな防御戦略「脅威ハンティング」

新たなサイバーセキュリティの重要性

昨今、サイバー攻撃の脅威が増大する中、企業におけるセキュリティ対策の重要性がより一層高まっています。2025年10月にはアサヒグループホールディングスやアスクル株式会社がサイバー攻撃の被害を受けたと発表し、多くの企業がその影響を真剣に受け止めています。さらに、警察庁サイバー警察局の報告によれば、2024年度のサイバー犯罪の検挙件数は13,164件に達し、これは過去10年間で増加傾向にあることを示しています。

従来のセキュリティ対策は、主に受動的なものであり、発生した攻撃や脅威に対処することを重視していました。しかし、これでは急速に進化する攻撃手法には太刀打ちできません。特にゼロデイ攻撃やAPT攻撃といった、高度な手法を用いる攻撃には対応が難しくなっています。これらの攻撃は、従来のアンチウイルスソフトウェアをもすり抜ける危険性があります。

能動的な防御「脅威ハンティング」

そこで注目されているのが「脅威ハンティング」です。脅威ハンティングは、未知の攻撃や脅威の兆候を特定し、事前に対策を講じる能動的なセキュリティ手法です。単なるアラートを待つのではなく、主体的に脅威を探し出すことで、企業はより強固な防御体制を築くことが可能になります。

この新刊『脅威ハンティング潜むサイバー攻撃を暴く技術』では、脅威ハンティングの基本概念から実践方法までを詳しく解説しています。著者Nadhem AlFardanは、Cisco Systemsのサイバーセキュリティアーキテクトとして活躍する専門家であり、彼の知見を基にした内容が展開されます。

本書では、脅威ハンティングに必要な仮説の立て方や、実践としてどのように行動するかを体系的に整理しており、セキュリティチーム間の協力方法や、効果的なレポーティング手法についても触れています。これは単なる理論ではなく、ビジネスの観点からも重要な成果をもたらす内容となっています。

重要な著者陣

本書の翻訳者には、国内のセキュリティ業界で経験豊富な専門家たちが名を連ねています。徳正保彦、東結香、田中啓介、山重徹といった面々は、それぞれ独自の専門領域で長年の実績を持ち、脅威ハンティングやセキュリティ分野の進化に貢献してきました。彼らの知識と経験が詰まった本書は、実務に役立つ情報を余すところなく提供します。