新刊『出生前検査を考えたら読む本』の紹介
2023年3月17日、毎日新聞取材班による新刊『出生前検査を考えたら読む本』が新潮社から発刊されました。本書は、近年注目を集めている新型出生前検査(NIPT)について、さまざまな視点から解説しています。特に年齢制限の撤廃や、検査項目の拡大が進む中で、妊娠中の不安を抱える多くの方々が直面する複雑な問題に対しての理解を深める助けとなるでしょう。
背景とテーマ
この書籍の根底には、2023年にLINEジャーナリズム賞の年間大賞を受賞した毎日新聞の配信記事があります。この記事は、新型出生前診断に伴う倫理的な問題を取り上げたもので、その反響の大きさから、書籍化が進められました。取材班のメンバーは、さらに深い取材を行い、実際の体験談や専門家の意見を盛り込むことで、より多角的な情報を提供しています。
書籍の構成
本書は五つの章に分かれており、各章ごとに異なるテーマを扱っています。
第1章「耐えられない」陽性の結果
「今の医学でわかるもの、全部知りたい」という思いを持つ妊婦たちが、陽性の結果に対してどのように心の葛藤を抱えるのかが描かれています。無認証施設や、医師からの電話によって引き起こされる不安—さまざまな視点で陽性の結果がどのように影響を与えるかが浮き彫りにされています。
第2章 新婚夫妻を包んだ沈黙
結婚という新しいステージにおいて、子どもを持つことへの恐怖と葛藤が描かれています。特に、男性と女性の間での意見の相違や、出産後の子育てに対する不安が強調されており、本書のタイトルにもあるように、様々な人たちの想いが交錯しています。
第3章 拡大する無認証追いかける認証
妊娠6週という早い段階でのNIPTや、無認証施設の増加など、現実に存在する問題が多数取り上げられています。これに伴う倫理的な議論や、制度改革の必要性についても考察がなされ、本書はただの報告書ではなく、問いかけを伴う内容となっています。
第4章 カウンセリングの現場から
陽性が出た場合の対処法について、専門家の意見が寄せられています。カウンセリングを受けることで、どのように心の整理を行っていくのか、また当事者団体の支援も重要視されています。
第5章 神様からの贈り物
実際に出生前検査を経験した家族の体験談が語られています。彼らの経験は多くの読者にとって、感情共鳴を起こすことでしょう。各家庭の選択がどのように彼らの人生に影響を与えたのかが描かれています。
結び
本書は、出生前検査に関する情報を求めている妊孕者や、周囲の人々に重要な知識を提供する一冊です。年齢制限や検査項目の拡大により、常に変化する現状を解説し、判断に迷った時の参考になることでしょう。出版にあたり、毎日新聞取材班は、まさに各分野の専門家と連携し、多くの女性たちの声を聞き、そのリアルな体験を綴っています。興味のある方はぜひ手に取ってみてください。