戦争の中で希望を見つけたウクライナ国立バレエの来日公演
2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻から、今年で3年が経ちます。そんな中で、ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)が再び日本での公演を行うことが決定しました。来年の7月から8月にかけて、全国各地で「スペシャル・セレクション2025」と「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」のプログラムが開催されます。大きな困難を乗り越えて生まれたこの公演は、観客に感動を与え、バレエを通じて希望を届けるものとなっております。
バレエ団を支える日本人芸術監督
ウクライナ国立バレエを指揮するのは、日本人芸術監督の寺田宜弘氏です。彼は11歳でバレエの道を歩むためにキーウに渡り、名門バレエ団の一員として活躍してきました。寺田氏は36年間の活動を通じて、ウクライナのバレエ界で重要な役割を果たしてきた人物です。2022年12月には、ウクライナ国立バレエの芸術監督に任命され、戦争の逆境の中でもバレエ団を支え続けています。
彼は開戦前日に一時的にキーウを離れましたが、すぐに戻れると思っていたため、その後の戦争勃発には困惑したそうです。しかし、日本に戻ることは選ばず、ドイツに残り、ウクライナのバレエ団や学生たちを支援するために尽力してきました。2022年の夏、日本での公演を実現させるために、ダンサーたちをドイツに集めて成功を収めたのです。
バレエ公演の影響
2022年の夏の公演は「奇跡の公演」と言われ、全20公演を通じて多くの観客の心を掴みました。観客は公演によって「美しい世界に浸り、戦争を忘れることができた」と語るほど、バレエの力を実感したといいます。さらに、日本から集まった義援金によって、2024年には新しい「ジゼル」の制作が行われるなど、日ウクライナ間の絆が深まっています。
来日公演の内容
今回の公演では、名作バレエから厳選した見どころを中心に、豪華なガラ公演が展開されます。「スペシャル・セレクション2025」では、「ラ・バヤデール」や「瀕死の白鳥」などの素晴らしい作品が堪能できます。一方、「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」では、子供たちにも楽しんでいただける内容が盛り込まれています。また、当日はMCによる解説も加わり、親子で楽しい時間を過ごせることでしょう。
「ウクライナ国立バレエ」はこれまでの歴史を受け継ぎつつ、未来に向けて新たな道を歩み続けています。寺田芸術監督のメッセージには、今も続く戦争の中で希望を持ち続け、文化を守るという強い決意が表れています。これからの公演は、多くの方々に勇気と希望を与えることでしょう。
おわりに
ウクライナ国立バレエの来日公演は、日本とウクライナの交流の歴史をさらに深める貴重な機会です。バレエの魅力を感じながら、困難を乗り越えて懸命に活動する彼らの姿に触れることで、私たちもまた新たな希望を抱くことができるのではないでしょうか。是非、この感動的な夏の公演にお越しください。