天然砥石の魅力を再発見!
工芸や大工の世界で欠かせない存在である天然砥石。しかし、今日では人造砥石の普及により、天然砥石の利用価値が薄れつつあります。そんな中、天然砥石の良さを再評価し、その魅力を伝える新たな資料が登場します。
書籍の概要
2025年7月11日、誠文堂新光社から『新版 大工道具・砥石と研ぎの技法』が発刊されます。この書籍は、2011年に発行された『大工道具・砥石と研ぎの技法』の増補改訂版であり、32ページの情報が追加されています。日本の天然砥石の分布や種類、さらには現代における最新の人造砥石について、詳しく解説されています。
特に強調されるのは、天然荒砥や中砥、さらには天然の仕上げ砥石の特性です。それぞれが持つ性能は、研ぎ方においても大きな影響を与えるため、これを知ることでよりよい仕上がりを目指すことができます。
天然砥石の貴重な歴史
日本の砥石は長い歴史を持ち、時代と共にその役割が変わってきました。天然荒砥や中砥は、今や性能が安定している人造砥石に圧倒され、産業としての存在感を失いつつあります。しかし、古い文献や資料はその多くが失われつつあり、この書籍はその貴重な情報を再公開する機会となります。
最近では、閉山されていた砥石山から新たに採掘権を取得し、砥石の販売を再開する動きも出ており、これもまた変化の一環です。そうした背景を知ることで、天然砥石の重要性やその魅力がますます際立ってきます。
天然合砥の希少性と人気
特に京都の丹波山地でのみ産出される天然合砥は、人造の仕上げ砥石では決して得られない性能を誇り、その希少性から根強い人気があります。しかし、インターネットの普及により、劣悪な品質の合砥が流通する危険性も増しているため、注意が必要です。書籍では、現在の天然合砥の流通状況や、新たな視点からの合砥に関する情報も取り上げています。
研ぎ方の技術陶徹
さらに、この本では実際に大工や建具職人から教わった研ぎ方についても詳しく解説しています。本書を通じて、読者は天然砥石の扱い方やその魅力を再認識し、技術を磨く参考にすることができるでしょう。日本の伝統的な技術を受け継ぎながら、現代の研ぎ方を考える上では必携の書となるでしょう。
編集者プロフィール
本書は、大工道具研究会によって編纂されています。彼らは、誠文堂新光社から出版される一連の大工道具関連書籍の企画・取材を行うチームで、毎年新しい書籍を定期的に発表しています。
書籍情報
- - 書名: 新版 大工道具・砥石と研ぎの技法
- - 編者: 大工道具研究会
- - 仕様: B5判、192ページ
- - 定価: 4,180円(税込)
- - 発売日: 2025年7月11日(金)
- - ISBN: 978-4-416-52533-3
本書を手に取ることで、天然砥石の魅力だけでなく、研ぎ方の奥深さを再発見していただけることでしょう。日本の伝統技術を継承し、未来に繋げるための、一足先に知識を深めていきましょう。