熊本史雄教授、樫山純三賞受賞の新しい洞察
駒澤大学の熊本史雄教授が著した『外務官僚たちの大東亜共栄圏』が、樫山純三賞を受賞しました。この賞は、現代アジアに関する優れた図書に贈られるもので、教授の研究が高く評価された結果です。本書は、日露戦争以降の日本外交とその失敗の本質を深く掘り下げています。
著書の背景
熊本氏は、多くの外交史料を駆使して、日本の外務省がどのようにして「大東亜共栄圏」なる思想を形成し、さらにはその過程で直面した誤算を明らかにしています。特に、国益の追求がどのように外交政策に影響を与えたのかを詳述しています。
本書は 2025年5月21日に発売され、多くのメディアで取り上げられ、初版からすでに3刷を迎えています。難解な外交史を一般読者にも分かりやすく伝える工夫が詰まった作品です。
目次の紹介
本書は、全9章から成り、外務官僚たちが直面したさまざまな課題を詳しく取り上げています。特に以下の章が注目されます:
1.
「満蒙」概念の誕生 では、当時の外交官がどのように策略を巡らせたのかを語ります。
2.
「精神的帝国主義」論の提唱 では、外務官僚がどのように戦略を誤ったのか、またその背景を解説しています。
3.
「大東亜共栄圏」構想の実相 では、日本の外交政策の核心と、それがどのように形成されていったかを具体的に示します。
これらの章は、当時の国際情勢や日本の内政がどのように絡み合っていたかを照らし出し、歴史的文脈の中で理解する手助けをしてくれます。
著者のコメント
熊本教授は、受賞についてこう語っています。「本書が評価された理由は、外務官僚たちの思想が現代の国際情勢とどのように交差しているのかを描くことができたからだと思います。」また、今後も研究を続け、より深い洞察を提供したいとしています。
学問と現代社会の関係
本書の内容は、現在の国際情勢にも直結しています。大国同士の対立やナショナリズムの高まりといった現代の喫緊の課題についても、多くの読者が感じるものがあるでしょう。外務省の開戦責任や、外交的感覚の重要性を再認識させられます。
まとめ
熊本史雄教授の『外務官僚たちの大東亜共栄圏』は、単なる歴史書にとどまらず、現代に警鐘を鳴らす重要な一冊と言えるでしょう。これからの研究にも期待が高まります。ぜひ、多くの方に手に取ってもらいたい作品です。