KERACROSS第七弾「シャープさんフラットさん」東京公演
2026年6月19日、東京・紀伊國屋サザンシアターで「シャープさんフラットさん」が初日を迎えました。この作品は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の戯曲をもとにした連続上演シリーズKERA CROSSの第七弾で、演出を担当するのは、マギーです。
舞台の背景と物語の設定
舞台は1990年代初頭、バブル経済崩壊前夜の日本が背景です。作品の舞台となるのは、東京から車で3時間ほどの距離にあるサナトリウム。この施設は、ソファや公衆電話、フリードリンクコーナーが揃った談話室を中心に、高さを活かした舞台装置が魅力です。ここで、数人ずつ順に登場するキャストたちは、導入部分の“ト書き”を交互に語り始めます。
若者たちや大人が集うこの場所で、主役・辻煙(ツジ ケムリ)を柄本時生が演じます。彼は自らの過去や家族関係、恋人との微妙な関係を語りながら、この特異なサナトリウムでの生活を綴ります。入居者たちの独自の背景や複雑な人間関係が徐々に明らかになり、物語は展開していきます。
個性豊かなキャストとキャラクター
ケムリの周囲には、彼の幻想の中に現れる父親役の田中俊介、元芸人のマキタスポーツが演じる研々、嬉しそうな父親役の堀部圭亮など、個性豊かなキャラクターが揃っています。そして、入居者や職員たちもまた独自の人物像を持っており、サナトリウム内での人間模様は非常に興味深いです。特に、物語の中での入居者の抱える家庭事情が、彼らの行動に影響を与えている様子が描かれています。
笑いの要素と物語の深さ
この舞台では、ケムリが“笑い”を追求する姿や、入居者たちのそれぞれのスタンスが重要なテーマとなっています。マギーの演出の元、観客は笑いの中に潜む深いシリアスさや、人間関係の複雑さを体験します。「これを笑っていいのか?」と自問自答する場面もあり、それぞれの登場人物の言葉がその問いに応えています。
また、キャストたちの演技力は圧巻であり、柄本時生はケムリの不安定さをリアルに表現、高梨臨の演じる美果は内面的な葛藤を丁寧に伝えています。安達祐実の春奈も、個性的なキャラクターの付加価値を持ちながら、深い演技を披露します。特に、松永玲子やマキタスポーツも含め、笑いへのこだわりは彼らの演技を通じて強く訴えかけてきます。
ステージ上の魔法と今後の展開
KERAとマギーの思いが交錯しながら、キャストたちの力強い演技が合わさることで、この作品は新たな命を得たようです。これからの公演では、東京を皮切りに名古屋や大阪へと巡演を予定しています。是非多くの人々に観てもらい、各地での成長を楽しみたいと思います。
KERA CROSS第七弾「シャープさんフラットさん」の物語は、笑いと人間の関係を探求し、観客に新たな視点を提供します。舞台が進化し続ける過程を見守りながら、その余韻を感じることの大切さを知ることで、観客としての深い体験をもたらしてくれるでしょう。