小学生がつかんだニホンオオカミの真実とその研究の歩み

小学生が見つけた貴重なニホンオオカミの剥製

2025年6月2日、株式会社Gakkenから新たに児童書『まぼろしの動物ニホンオオカミ小学生、なぞのはくせいの正体を追う』が発売されます。この本は、小学生の小森日菜子さんが、約100年前に絶滅したニホンオオカミの貴重な剥製を偶然発見し、その後の研究過程を描いています。

発見のきっかけ

小森さんが当時小学4年生だった2020年11月、彼女は国立科学博物館の見学イベントに参加していました。その時、彼女は展示されていた剥製の中で、特にニホンオオカミと思われる標本に目を奪われたといいます。「頭の中のレーダーがピピッと反応した」と表現する小森さんですが、彼女は専門家の協力を得ながら、この剥製の調査に取り掛かることになります。

徹底した調査と自由研究

小森さんは、剥製がどのようにして手元に来たのかを明らかにするため、様々な資料を読み込み、観察を重ねました。その結果、約1年後には、彼女が調査結果をまとめた自由研究『ヤマイヌ～私が解明したい謎のニホンオオカミ～』が完成。この自由研究は、第25回「図書館を使った調べる学習コンクール」で文部科学大臣賞を受賞しました。

次なるステップ

自由研究を受けて、専門家のアドバイスをもとに、彼女はさらに調査を進め、2024年2月には『国立科学博物館所蔵ヤマイヌ剥製標本はニホンオオカミCanis lupus hodophilaxか？』というタイトルの学術論文を発表しました。ニホンオオカミの剥製であることが示唆され、多くのメディアでも取り上げられる話題となりました。

タレントからの推薦

書籍が発表されるにあたり、タレントの伊集院光さんも推薦のコメントを寄せています。彼は小森さんを「小森先生」と呼び、その若き才能を称賛しました。小森さんが参加したクイズ番組『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』においても、絶滅動物に関する知識を披露しており、彼女の名は広がりを見せています。

本書の魅力

本書では、小森さんの発見から研究の過程が、児童文学作家のたけたにちほみさんによって子供向けにわかりやすく描かれています。剥製に残された情報や古い記録をもとに小森さんが探り続ける姿は、まさにミステリー小説のように感じられるかもしれません。また、自由研究や論文作成のプロセスも紹介されており、読者は研究の方法も学ぶことができます。

さらに、ニホンオオカミについてだけでなく、絶滅動物やそれに関連する信仰についても触れ、広い視野で自然界の神秘に迫る一冊となっています。

特別展の告知

この貴重な剥製は、国立科学博物館で開催される特別展「古代DNA―日本人のきた道―」にて2年以上展示されています。小森さんの研究は国立科学博物館でも紹介され、子どもたちが科学的興味を持つきっかけとなることでしょう。

小森日菜子さんの物語は、子どもたちに夢と好奇心を与え、自らの研究への道を拓く良い手本となること間違いありません。未来の科学者たちが育つきっかけとして、本書は多くの読者に届くことを期待しています。