中村勘九郎・七之助兄弟が贈る新緑歌舞伎公演の魅力とは

新緑歌舞伎特別公演2025、幕を開ける

2025年5月3日（土祝）、中村勘九郎と中村七之助が日本の伝統芸能を全国に広めるために巡演する『新緑歌舞伎特別公演2025』が盛大にスタートしました。この公演は2005年からほぼ毎年行われており、各地のファンが待ち望む恒例行事となっています。今回は、挑戦的な演目を選しんだということで、観客の期待が高まります。

新しい演目の選択

勘九郎は、初めての演目である『高尾懺悔』と『太刀盗人』について紹介。七之助は『高尾懺悔』について、主人公の高尾太夫が亡霊としての姿をしっとりと踊る様子を説明。吉原での彼女の壮絶な人生が背景に絡んでおり、視覚的にも精神的にも観客を惹きつける魅力があります。これに対し勘九郎は、甲高い笑いを交えながら、全く新しい『太刀盗人』に挑む意気込みを語りました。この作品では、主人公によるコミカルなストーリー展開が特徴で、歌舞伎の新たな楽しみ方を提案しています。

トークセッションと質問コーナー

公演の冒頭では、司会の吉崎典子アナウンサーが歓迎の言葉を述べ、3人の出演者が登場。観客たちの熱心な拍手に迎えられ、勘九郎は「この公演を通じて、初めての歌舞伎鑑賞者が増えることが嬉しい」と感慨を述べました。その後のQ&Aセッションでは、七之助が女方の艶やかさについて答え、観客との距離感を縮める場面が印象的でした。

ミニ歌舞伎塾の魅力

さらに公演の中では、『ミニ歌舞伎塾』が行われ、実際に観客とのインタラクションが楽しめる内容に。中村小三郎が舞台上で歌舞伎の効果音や後見の仕事について解説し、観客は新たな知識を得ることができました。特に衣装の変化を実演した際には、大きな拍手が沸き起こりました。このセッションは、歌舞伎の魅力をより深く理解するための絶好の機会でした。

上演された演目の魅力

本公演においては、『高尾懺悔』で七之助が魅せる儚い美しさと、その後の『太刀盗人』で勘九郎が演じる愉快なキャラクターが観客の心をつかみます。特に高尾太夫の踊りは、観る者に深い感動をもたらし、同時に吉原の歴史を感じさせるものがあります。一方で、『太刀盗人』は、ユーモアたっぷりの演出が光り、観客からは笑い声が絶えません。両演目ともに、まさに歌舞伎の醍醐味を楽しむことができました。