知られざる「中動態」とは
2023年3月、新潮文庫より國分功一郎著の『中動態の世界 意志と責任の考古学』が出版され、大きな話題を呼んでいます。本書は単行本として2017年に発表され、その後紀伊國屋じんぶん大賞2018や小林秀雄賞を受賞し、多くの支持を得ました。今回は、著名作家の朝井リョウ氏から特別な推薦コメントも寄せられるなど、さらなる注目を集めています。
本書の概要
『中動態の世界』は、依存症当事者との対話を通じて、私たちの思考がいつの間にか能動と受動の対立に縛られていることに焦点を当てた作品です。著者は歴史からひそかに姿を消した「中動態」に注目し、私たちの思考の可能性を広げる試みを行っています。この新しい視点から、人間が抱える自由の不自由さや、本当の自由を探る旅を読者とともに行います。
著者のコメント
著者である國分功一郎氏は、「難しいと思ったら飛ばしても良い」と語ります。大切なのは、自分自身の中で「中動態」の概念をつかむこと。毎日の生活の中や思い出の中で、その存在を探し出すことで、より説得力のある理解を得ることができると強調しています。これは、現代社会において多くの読者が直面しているテーマとも言えるでしょう。
さまざまな賛同者の声
本書の内容は、さまざまな分野の著名人からも絶賛されています。映画監督の濱口竜介氏は、「中動態」を知ったことで撮影現場での物事の捉え方が変わったと述べ、自己と他者の境界についての思索を促進する力があると評価しています。美学者の伊藤亜紗氏も、本書が新しい見方や感覚を提供する哲学書であると高く評価しています。
文庫版特典:責任の新たな考察
文庫版では「責任とは何か?」と題した補遺が追加されています。この補遺では、著者が「意志」と比べてまだ深く掘り下げていなかった責任についての新たな見解が提示されています。責任をどう捉えるかは、現代社会で私たちが直面する重要なテーマです。
売上も注目を集める
本書の前作である『暇と退屈の倫理学』は、文庫版として異例の売行きを記録し、40万部を超えるヒットを記録しました。また、2022年と2023年には「東大・京大で一番読まれた本」として名を馳せ、多くの層の読者の支持を得ています。今回の新刊も同様の広範囲な支持を見込まれています。
書籍データ
- - タイトル: 中動態の世界 意志と責任の考古学
- - 著者名: 國分功一郎
- - 発売日: 2023年3月28日(金)
- - 定価: 990円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-103542-0
- - URL: 新潮社
本書を通じて、「中動態」の概念がもたらす新たな思考の可能性に触れ、日々の生活をより豊かにするヒントを見つけてみてはいかがでしょうか。