異色ロックユニットOoochie Koochie、武道館の舞台に立つ
2月の発表以来、音楽ファンを熱狂させている“奇跡のユニット”Ooochie Koochie。これは、奥田民生と吉川晃司という二人のレジェンドが集結したプロジェクトであり、長年の友情と音楽への情熱が結実した瞬間です。彼らは共に1965年に広島で生まれ育ち、これまでに接点は少なかったものの、数年前に行われたフェスでの再会がきっかけとなり、お互いの音楽に対するリスペクトを深めていきました。
2025年には全公演を通じて、全国各地で旋風を巻き起こす予定のこのユニットは、既に7か所8公演の全国ツアーを成功裏に終え、いよいよその集大成とも位置づけられる日本武道館での公演が実現しました。9月11日と12日の2日間、高鳴る期待の中で行われたこのライブは、コンサートフリークにとって見逃せないものとなっていました。
ドラマティックなライブの幕開け
開演時間が過ぎ、場内が暗転すると、一瞬の静寂の後に観客たちの歓声が轟きます。奥田と吉川がギターを手に舞台に登場し、まずはエッジの効いたサウンドの「おちこち」が披露されました。この曲は、二人のユニットの“表明曲”としても位置づけられており、聴衆の心を捉えました。
続く「Do The Shuffle」では、70年代のハードロックを彷彿とさせる力強いサウンドが響き渡り、二人のユニゾンが観客の胸を盛り上げます。また、「Three Arrows」ではサンフレッチェ広島に対する熱い思いを込めた歌が披露され、そのロックオペラ的な展開に心を揺さぶられました。
華やかな演出と多彩なパフォーマンス
デザイン性のある照明が煌びやかに武道館を彩る中、赤いスパンコールのジャケットを着る奥田と、ゴールドのロングジャケットをまとった吉川の姿が煌めきます。特に「GOLD」では、観客が彼らのパフォーマンスに引き込まれ、圧倒的なグルーヴ感が会場を包み込みました。
その後、続けざまに「片恋ハニー」や「Dancing Queen」(ABBA)、さらには「Let’s Dance」(David Bowie)など、楽曲の幅広さを感じさせるセットリストが展開され、観客たちの盛り上がりは最高潮に。
代表曲の交換と心に響くメッセージ
ユニットの見せ場のひとつは、双方の代表曲を交換して歌うシーンです。吉川の「LA VIE EN ROSE」を奥田が、さらには奥田の「Maybe Blue」を吉川が歌う瞬間は、観客にとっても特別なものであり、それぞれの楽曲が新しい息吹を得る様子が印象的でした。
特に「リトルボーイズ」においては、平和がテーマに含まれており、幼少の頃の思い出と郷愁が重なり合い、奥深いメッセージが込められています。ジャンルを超えたダンスミュージックやジャズのエッセンスを取り入れたこのライブでは、二人の音楽が一つに融合し、全体に流れる感情の高まりを感じました。
アンコールの感動
公演の最後には、再びお互いへのリスペクトの気持ちが表現され、奥田が「さすらい」を吉川が、吉川の「Juicy Jungle」を奥田が歌い上げる流れになりました。観客はそれぞれのファンではなく、二人の音楽を一つに受け入れる姿が印象的で、大いなる一体感が生まれました。
ユニット名“Ooochie Koochie”の意味するところは、「遠いところと近いところ」「昔と今」「現在と将来」との関係性を表し、奥田民生と吉川晃司が新しい音楽表現を作り上げた証として、記憶に刻まれるライブとなりました。これからの彼らの活動から目が離せません。