時代が求める「読む」力を養う必携の一冊、山野弘樹著『20代からの文章読解』

逆境を乗り越えるための「読む」力

現代は、情報が氾濫する時代です。私たちの日常生活では、文章を「読む」ことよりも「書く」ことが優先されがちで、多くの人がポイントだけを拾う日々を送っています。そんな時代に読者に新たな考え方を提案するのが、山野弘樹氏の著書『20代からの文章読解』です。この本は、2025年8月22日に株式会社大和書房から発売される予定で、特に20代の若者に向けて、批判的読解力を養う方法を紹介しています。

読解力の必要性

著者の山野氏は、私たちが普段「解釈させられている」状態にあると指摘します。受動的に情報を受け取るのではなく、主体的に情報を分析し解釈することが求められる時代です。「考えさせない」情報に満ちた社会で、いかに「読み」方を見直すべきかを、本書は具体的に示しています。

本書では、「読む」とはどうあるべきか、という問いへの答えを探しながら、批判的読み取りの実践方法を展開しています。山野氏は、東京大学で培った学問的なアプローチをもとに、学問に関わる全ての文書をどのように読み解くかについて包括的な指南を提供します。

主な内容

『20代からの文章読解』の内容は多岐にわたります。内容は大きく分けて10の講義から構成されており、以下のテーマがカバーされています：

1. 「読める」とはどういうことか
2. 意味を解釈するということ
3. 論理構造を読み取るということ
4. テクストに対していかに問うのか(1)
5. テクストに対していかに問うのか(2)
6. テクストに対していかに問うのか(3)
7. テクストに対していかに問うのか(4)
8. 抵抗としての読解
9. 考えさせない時代に抗して
10. 世界の意味を取り戻すということ

これらの章を通じて、読み手は文章をどのように解析し、自身で問いを発する力を養うことができるのです。

読む力の育み方

具体的なトレーニング方法が示される本書の特色は、読書を通じて新たな疑問を生み出す力を高めることです。読み手は、自ら得た知識を基に新しい視点を構築し、思考を深めていくことが可能になります。これは、現代社会で求められる批判的な視点を持つために必要不可欠な要素です。

著者の山野氏は、「人文学的思考」を通じて、人間の精神や世界の在り方の可能性を再発見することを目指しています。この思考は、私たちの知的好奇心を喚起し、より豊かな理解をもたらします。