食品安全における新たな国際規格の登場
一般財団法人日本規格協会(JSA)が、2025年12月15日(月)に新たな食品安全に関する国際規格の英・日対訳版を発行することが決定しました。この新規格は、ISO 22002-1:2025、ISO 22002-4:2025、ISO 22002-7:2025、ISO 22002-100:2025の4つで構成されています。
ISO/TS22002の紹介
ISO/TS22002は、食品に関連する様々な事業者向けに制定された前提条件プログラム(PRP)の国際規格です。この規格は、HACCPの考え方を基に構築されており、食品安全マネジメントシステムISO 22000と連携しやすいように設計されています。特に、ISO/TS22002は、前提条件プログラムに特化した具体的内容が記載されている点が特徴です。
HACCPとは
HACCPは、「Hazard(危害)Analysis(分析)Critical(重要)Control(管理・制御)Point(点)」の略称です。これは、食品の製造過程における危険を事前に分析し、防止するための衛生管理手法です。日本においては、1995年以降HACCPの普及が進んできましたが、長い間任意の制度とされていました。しかし、2018年6月には食品衛生法が改正され、2020年6月1日からはHACCPに基づく衛生管理が義務化されました。この改正により、ISO 22000の重要性が一層高まりました。
新規格の詳細
ISO 22002-1:2025
この規格は、食品製造業向けの前提条件プログラムを定義した内容となっています。前回の「ISO/TS 22002-1:2009」から大きく改訂され、ISO 22002-100と合わせて使用することが求められます。
ISO 22002-4:2025
食品包装の製造に関する前提条件プログラムを定めたこの規格も約12年ぶりに改訂されました。こちらもISO 22002-100と共にセット使用が求められます。
ISO 22002-7:2025
小売及び卸売向けのこの規格は、これまでのPAS 221:2013をベースにしつつ、最新のISO 22002-100と整合性を持たせて国際規格化されました。
ISO 22002-100:2025
この共通の枠組みに関する規格は、食品、飼料、包装を含むサプライチェーン全体に適用可能な基礎規格を提供します。
追加情報と出版物
日本規格協会では、ISO 22000に関する解説書や内部監査手順に関する実用書も出版しており、食品安全に関する知識を深めるためのリソースを提供しています。特に、HACCPやFSSC 22000に関する内容は、食品業界での実務に役立つ情報が多数詰まっています。
日本規格協会は、1945年の設立以来、標準化と管理技術の普及を目的に活動しており、食品安全に関する国際基準の策定もその一環です。新しく発行される規格は、食品業界の信頼性向上や消費者の安全確保に寄与することが期待されています。今後も、規格の内容とその適用方法についての研修などを通じて、業界全体の意識向上を目指していくことが重要です。