2025年本屋大賞にノミネートされた講談社の作品たち
2025年の本屋大賞ノミネート作品が発表され、その中に講談社から刊行された3作品が選ばれました。著者たちはそれぞれ初めて本屋大賞の候補に挙がるニューフェイスです。ここでは、阿部暁子『カフネ』、金子玲介『死んだ山田と教室』、そして野﨑まど『小説』の3冊を詳しくご紹介します。
阿部暁子『カフネ』
まず一作品目は、未来屋小説大賞や「あの本、読みました?」大賞を受賞した実績を持つ阿部暁子の『カフネ』です。物語の主人公、法務局に勤める野宮薫子は、突然の弟の死という悲劇に直面します。彼女は弟が遺した遺言書を通じて、弟の元恋人である小野寺せつなと出会い、次第に彼女と共に家事代行サービス「カフネ」を手伝うことになります。
この作品は、悲しみを抱えながらも食を通して徐々に心を通わせていく二人の物語です。『カフネ』は、優しさと切なさを併せ持ちながら、読者の心に深く寄り添ってくれます。著者の阿部暁子は、岩手県出身で、デビューから数々の賞を受賞してきた実力派で、本作でもその才能を遺憾なく発揮しています。
金子玲介『死んだ山田と教室』
次に紹介するのは、金子玲介の『死んだ山田と教室』です。本作は、青春と教室をテーマにした作品で、彼が受賞した第65回メフィスト賞の名に恥じない傑作です。物語は、人気者の山田が事故で亡くなるところから始まります。教室のスピーカーから聞こえてくる山田の声は、彼の魂がスピーカーに憑依した結果で、クラスメートたちの心の傷を癒し、悲しみを和らげていきます。
この不思議な日々の中で、山田の仲間たちとの絆が再び深まる様子が描かれており、読者は信じ難いほどの感情の波に引き込まれます。金子は、神奈川県出身の若手作家で、すでに多くの受賞歴があり、今後の活躍が期待される存在です。
野﨑まど『小説』
最後に、野﨑まどの『小説』です。この作品は、2025年キノベスで第3位にランクインし、投票締切の直前に刊行されたにもかかわらず、その勢いでノミネートを果たしました。
物語は、小説への愛と、その裏にある矛盾を描き出しています。主人公は、内海集司という青年で、彼は自らの人生を小説に捧げることに決めます。しかし、小説を愛しすぎるが故に生じる後ろめたさや、自身の存在意義について葛藤する姿が印象的です。野﨑まどは、デビュー以来多くの作品を発表しており、その独特な視点と物語展開が評価されています。
まとめ
2025年本屋大賞にノミネートされたこれらの作品は、どれも異なる魅力を持つ傑作です。3人の新たな才能がもたらす物語の数々は、ぜひ手に取って味わっていただきたいものです。本屋大賞の最終結果は、全国の書店員による票決で4月9日に発表される予定です。皆様も期待を胸に、これらの作品を読んでみてはいかがでしょうか。