宮部みゆきの新作『猫の刻参り三島屋変調百物語拾之続』
宮部みゆきの人気時代小説シリーズ、「三島屋変調百物語」の第十巻となる新作『猫の刻参り』が2025年2月19日に新潮社から刊行されました。この作品は、シリーズの中でも特に注目すべき一冊で、化け猫や河童、山姥といった伝説の怪物が物語の中心に置かれています。
テーマは「女の復讐」
本作では苦しみを抱える女性たちが登場し、それぞれの復讐の形が描かれています。子供を失い、夫や姑への恨みを抱く者、村を襲う悪党に立ち向かう者、悪女から全てを奪われる者など、多様な女たちの姿は感慨深く、時代を超えて共感を呼び覚ますものがあります。
作家としての唯川恵さんがこの作品の書評を「女の弱さと怖さと逞しさ」と題して寄稿しており、その中で一途な静香の行動に思わず声が上がるシーンについて語ります。恋愛の甘美さと背後に隠された無知に気づく者として、彼女の描くキャラクターの深みと複雑さに触れています。
唯川恵の書評の中での驚き
唯川恵は、静香が恋という感情に支配され、予想外の展開を迎えることに衝撃を受けたと述べています。また、彼女の書評には、恋愛の持つドーパミン効果と人の持つ純粋さがもたらす恐怖が描かれており、読者に刺激的なメッセージを送ります。彼女の目を通して、『猫の刻参り』がどれほど引き込まれる作品であるかが伝わります。
宮部みゆきの言葉
宮部みゆきは本作について、「皆様のご愛顧に心より感謝申し上げます」と語り、シリーズの節目となるこの巻での新たな怪異への挑戦についても触れています。登場する化け猫、河童、山姥は、ただの伝説ではなく、彼女が新たに再話し、深みを与えたキャラクターたちです。
物語の中での変化
特に、富次郎(主人公)の兄である伊一郎にまつわる縁談を巡り、三島屋は大騒動に巻き込まれます。ここでの事件は、昼ドラを彷彿とさせるような激しい展開で、物語に緊張感を与えています。読者は、刺激的で感情移入できるキャラクターたちに魅了されることでしょう。
試し読みも可能に
新潮社のサイトでは、この作品の試し読みが公開されています。読者は、まずその一端に触れることで物語の魅力を体感することができるでしょう。
宮部みゆきの作家としての歴史
1987年の作家デビュー以来、数々の受賞歴を持つ宮部みゆき。この新作も、彼女の持つ叡智と才能が詰まった一冊です。時代小説に新たな風を送り込み、読者を魅了する作品となるでしょう。彼女の背後には、長い間積み上げてきた実績があります。この『猫の刻参り』が、また新たなライティングの章となることを期待しましょう。