五城目町の未来
2025-08-07 12:11:17

地域の未来を<わたし>から考える──秋田五城目町の持続可能な実践

地域の未来を<わたし>から考える



秋田県五城目町、この地は日本の美しい風景と文化の宝庫です。500年もの歴史を誇る朝市、山や湖に囲まれた自然の美しさ、そして当地の人々が育んできた豊かな文化資本があります。しかし、近年、多くの地方が抱える人口減少の波が五城目町にも押し寄せています。その中で、この地域が持つ可能性に目を向け、私たちが新しい地域の未来を考える上での出発点とするために、英治出版から『〈わたし〉からはじめる地方論』が刊行されます。

本書の背景と目的



この書籍の著者、工藤尚悟氏は、地域に深く根ざした活動こそが持続可能な変化をもたらすと主張しています。政府の「地方創生」政策が推進された10年を経て、新たな段階として「地方創生2.0」が検討されていますが、根本的に何が地域にとって重要なのかを再考する必要性が高まっています。工藤氏は、過去の地方活性化に関する言葉が、中央の視点から生まれ、地域の人々の声を圧迫していると警鐘を鳴らしています。彼の考えでは、地域の未来を創造するのは「わたし」と呼ばれる、地域に生活する個々人の声なのです。

五城目町の実践



五城目町では、地域住民と訪問者の交流を重視する実践が行われています。この町の特筆すべき点は、縮小しながらも豊かさを追求するための様々な取り組みが行われていることです。本書では、その具体例をいくつか紹介します。

1. 多様な働き方を支える「ババメベース」 - 地域に根ざした間接的なプロジェクトや仕事を支援。
2. 住民の背中を押す「いちカフェ」や「まちのヒーローアカデミア」 - 小さなアイデアを育てる空間。
3. 「ものかたり」や「シェアビレッジ」 - 異なる視点を持つ人々が情報を交換できる場。
4. 住民参加による「スクールトーク」や「みんなの学校」 - 教育を地域全体で支える取り組み。
5. 「朝市plus+」や「貸し棚おうみや」 - 自己表現の場と挑戦を促す場が整備されている。

これらの活動は、人口減少が進む中でも、地域が自ら変わっていく力を秘めていることを示しています。工藤氏は、地域を硬直的に捉えるのではなく、訪れる人々と地域住民が交わる場だと再定義することで、地域の声の新しい響きを生み出せると述べています。

地域の言葉を取り戻す



工藤氏が提唱する視点は、地域コミュニティが持つ価値を再認識することです。ただ「地域を盛り上げる」というスローガンの背景にある、何が失われないといけないのかを深く考えるべきであるとは、彼の重要な視点です。これにより、地域住民が自らの言葉で未来を見据え、自らの生活や文化を豊かにすることが求められています。

本書を通じて、秋田県五城目町の取組みを学び、地域が抱える問題に対する新しい視点を得ることで、私たちもまた自らの地域を見つめ直す契機になることでしょう。地域の未来を共に考え、行動していくことが求められています。持続可能な未来をつくるために、一人一人が自分の声を大切にすること、それが新たな地方論のスタート地点です。


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