フランスのアーティスト、ギャビー・バザンの特別展が市谷の杜で開催
大日本印刷株式会社(DNP)が運営する文化施設「市谷の杜 本と活字館」では、2025年6月28日から10月19日まで、特別企画展「ギャビー・バザン デザインのアトリエ 活版印刷」が開催されます。この展覧会では、フランスを拠点に活躍するアーティスト、ギャビー・バザン氏の絵本『Le Typographe』を題材に、活版印刷の魅力を存分に感じることができる内容になっています。
絵本が描く活版印刷の世界
ギャビー・バザン氏の絵本『Le Typographe』(日本語版『デザインのアトリエ 活版印刷』)では、印刷以前の手作り文化から、グーテンベルクによる活版印刷の発明、そして、そのプロセスにおける職人技が、鮮やかなイラストで表現されています。今回の企画展では、これらの要素をさまざまな展示を通して紹介し、来館者に活版印刷の魅力を再発見してもらうことが目的です。
絵本はそのカラフルなビジュアルで知られる一方、下絵は全て黒一色で描かれていることが大きな特徴です。展示では、バザン氏が色ごとに下絵を描く様子や、その制作過程の背景にも触れ、彼女の創作の裏側を探ります。
日本の活版印刷とフランスの出会い
この企画展では、フランスの活版印刷だけでなく、日本の印刷技術にも焦点を当て、両国の文化の違いを比較しながら、多様な字体を持つ日本の活字文化の特異性も紹介されます。活版印刷は各地域や言語に応じて発展してきましたが、特に日本ではひらがな、カタカナ、漢字といった多彩な文字を使うことから、他国にはない独自の活版印刷文化を形成しています。バザン氏も、彼女の絵本の主人公が日本の活字棚を見て驚く姿を想像させます。
ギャビー・バザン氏のプロフィール
バザン氏は、グラフィックデザインを学びながら、自らの手で印刷や製本を行うことに魅了されました。2022年にフランスで刊行された絵本『Le Typographe』は、印刷の楽しさをシンプルなイラストと言葉で伝えるもので、日本を始め多くの国で翻訳されています。近年は、子どもたちに印刷の魅力を伝えるためのワークショップも開催しており、今でもフランス・パリ郊外のサン=ドニにて活動を続けています。
展覧会と関連イベントの詳細
- - 会期: 2025年6月28日(土)~10月19日(日)
- - 会場: 市谷の杜 本と活字館(新宿区市谷加賀町1-1-1)
- - 開館時間: 10:00-18:00(月・火は休館)
- - 入場料: 無料
- - 主催: 市谷の杜 本と活字館(大日本印刷)
さらに、企画展に合わせて、ギャビー・バザン氏によるワークショップやトークイベントが企画されています。小学生以下を対象にしたワークショップでは、印刷機を見ながら描いたイラストを使用してポスターを印刷する体験ができます。また、東京日仏学院では、未訳の絵本についてのトークイベントとミニ・エキスポも開催され、印刷文化の世界についてより深く知る機会が提供されます。
おわりに
この展覧会は、印刷文化が持つ魅力を多くの人々に伝える貴重な機会となります。歴史的背景や技術の進化を体験しながら、印刷の楽しさと奥深さを感じられる「ギャビー・バザン デザインのアトリエ 活版印刷」に、ぜひ足を運んでみてください!