志村ふくみの名随筆『母なる色』が文庫化
2023年11月5日に、紬織の人間国宝であり名随筆家の志村ふくみさんによるロングセラー『母なる色』が文庫版として生まれ変わります。この作品は1999年に初版が刊行され、長年受け継がれてきた名著です。今回の文庫化では、新たにオリジナルのカラーフォトが多数追加され、ますます魅力的な一冊となっています。
手仕事で紡ぐ美しい作品たち
志村ふくみさんは、「手仕事なくしては、一日も生きられない」と語り、染織に捧げた情熱を表現してきました。彼女は、自然から得た植物の色で糸を染め、機織り機を操作しながら数々の名作を生み出してきました。最初は専門知識のない主婦でしたが、挑戦を重ねることで染織の道を切り拓いていきました。その努力、好奇心、向上心、センスは多くの人々を魅了し続けています。
文庫版の魅力
文庫版『母なる色』には、志村さんが築いてきた美しい言葉と感受性が色濃く反映されています。自然界に宿る「母なる色」とは一体何であり、どんな物語が織り交ぜられているのでしょうか。著者が表現する豊かな感受性と独自の視点で描かれる色彩芸術を、ぜひじっくりと味わってほしいと思います。
志村ふくみさんの想い
志村ふくみさんは、本書に関して「私にとって『母なる色』という言葉は、自然現象である色に生命が宿った瞬間でした。この頃は仕事も充実していましたので、とても思い出のある著作です」と述べています。この文庫化を心から喜んでいる様子からも、彼女の作品に対する熱い思いが伝わってきます。
未来を担う志村昌司さんの視点
志村ふくみさんの孫である志村昌司さんは、本書のメッセージに触れ、「手の中に思考が宿る」という言葉が大切だとしています。草木で染め上げ、手作りで織り成すことは、彼女にとって生命そのもの。現代のテクノロジーの進化においても、手仕事が持つ価値は失われることがないと強く感じているようです。これからの時代に必要な『手仕事の重要性』を多くの人に伝えたくなるような、志村さんの思いがこの書籍には詰まっています。
読者の期待を超える内容
解説者の田中優子さんは、『母なる色』に込められた色の探求を通じて、志村ふくみさんの世界への興味を強烈に引き出します。読み進めながら、色彩がどのように視覚化されるのかを実感できるでしょう。志村ふくみさんの文章には、色が匂い立つかのように立ち現れる魔法があります。
まとめ
文庫版の『母なる色』は、志村ふくみさんの人生と芸術を凝縮した、心温まる一冊です。手仕事の美しさや自然の色の豊かさに触れることで、多くの人が新たな感動を見出すことでしょう。
ぜひとも、この機会にその魅力に触れてみてください。文庫化を記念して、この名作が多くの人々に届くことを願っています。
書誌情報
- - 書名: 母なる色
- - 著者: 志村ふくみ
- - 定価: 935円(税込)
- - 出版社: 文藝春秋
- - 発売日: 11月05日
- - ISBN: 978-4-16-792445-4
- - 書誌URL: 文藝春秋