松井今朝子受賞
2025-10-07 15:02:36

松井今朝子が描く近松門左衛門の生涯、柴田錬三郎賞受賞

松井今朝子、近松門左衛門を描いた『一場の夢と消え』受賞



文学界から嬉しいニュースが舞い込んできました。2024年8月26日に株式会社文藝春秋から刊行される、松井今朝子さんの長編小説『一場の夢と消え』が、第38回柴田錬三郎賞を受賞しました。この賞は、近代小説界において重要な作家である故・柴田錬三郎氏を記念して設けられたものであり、広く読者を魅了する作品に与えられます。

この受賞作は、日本の古典文学における偉大なストーリーテラー、近松門左衛門の人生を描いた感動の物語です。『曽根崎心中』や『国性爺合戦』といった名作を生み出した近松の生涯を通して、芸道に生きる人々の心境を繊細に描写しています。近松小説の決定版とも言えるこの作品は、その深い内容ゆえに、芸道小説の最高峰として位置付けられています。

松井今朝子の受賞コメント



受賞に際して、松井さんは自身の40年前の思い出を振り返りました。彼女は若い頃、四世坂田藤十郎が主宰する近松門左衛門の作品に特化した歌舞伎劇団、「近松座」で上演台本や演出助手を務めていたといいます。当時は近松の偉大さを理解しないまま一介の座付き作者として活動していた彼女は、近松の心境に思いを巡らすことが多かったそうです。この作品には、彼女自身の若き日の思い出が色濃く反映されているとのこと。受賞を心から喜びつつも、その感情には恥じらいも含まれていると語りました。

著者 松井今朝子について



松井今朝子さんは、1953年に京都で生まれ、早稲田大学大学院で演劇学を学びました。その後、松竹にて歌舞伎の脚色や演出に携わり、97年に小説家としてデビューを果たしました。デビュー作『東洲しゃらくさし』からスタートし、以降数々の賞を受賞しています。直木三十五賞や渡辺淳一文学賞など、多くの名誉ある賞を受賞した彼女は、現代の文学界において重要な地位を築き上げています。

『一場の夢と消え』の内容



この小説は、越前の武家に生まれた杉森信盛(近松門左衛門)が、浪人として上京し、やがて芸の道を歩むようになる過程を描いています。彼は京の都で多くの魅力的な役者や女性たちと出会い、竹本義太夫や坂田藤十郎との交流を通して、浄瑠璃や歌舞伎の作品を提供し始めます。そして、「近松門左衛門」という名が次第に広まる中、大坂で起こった心中事件を背景に、『曽根崎心中』を執筆します。その後、彼の作品は異例の大ヒットを記録します。

物語は、書くことの楽しさと苦悩、男女のドラマ、家族の絆、そして芸能界の変遷と自己の老いなど、多様なテーマを盛り込んでおり、読者を深く引き込む構成になっています。近松門左衛門の人生を通して、芸に生きる者たちの真摯な姿が描かれ、感動を呼ぶ一冊となっています。

賞の意義と今後の展望



柴田錬三郎賞は、優れた現代小説や時代小説を対象にしており、選考委員には著名な作家が揃っています。松井さんの受賞は、彼女の作品が広範な読者に愛され、その価値が高く評価されたことを意味しています。これを機に、彼女の作品がさらに多くの読者に届くことを願っています。

松井今朝子さんの新作『一場の夢と消え』は、2024年8月26日に発売予定で、定価は2,420円(税込)です。近松門左衛門の生涯を描いたこの物語にぜひご注目ください。


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