秋田の新たな光、「ルフラン」とは
秋田県由利本荘市に、寄り添いながら新しい就労支援を提供する「ルフラン」が誕生しました。音楽を通じた福祉支援モデルとして注目されています。この事業を立ち上げたのは、元引きこもりで音楽から社会復帰を果たした佐久間玲奈氏です。「働く」と「表現する」という二つの側面から支援を行うことで、制度の枠組みからこぼれ落ちがちな若者たちに生きがいと自立を提供しています。
今回の支援の形は、秋田県の「あきた若者チャレンジ応援事業」に特例採択されており、初めて開催された音楽ワークショップでは、参加者の70%以上が継続利用を希望しています。このことからも、同じ境遇にいる人たちにとって、動機を持てる場が提供されていることが伺えます。
佐久間玲奈の背景
代表の佐久間さん自身が高校卒業後、4年間の引きこもり経験を持っています。2008年に自立支援施設で音楽団体「BRONZE道心」と出会ったことで、音楽活動を通じて社会復帰。「音楽が人を再び立ち上がらせる力を持つ」という実感が、次のステップへ進むきっかけとなりました。彼女は介護福祉士や社会福祉士、公認心理師といった資格を取得し、約14年間も就労支援の現場で活動。
その中で「仕事だけでは自立は難しい」と気づき、生きがいの重要性を再認識。これが新たな支援のあり方、「ルフラン」の設立の原動力となりました。
音楽ワークショップと社会的意義
現在の「ルフラン」は、実証実験の段階にありますが、地域の若者たちに対するニーズが高まっているのを実感しています。2024年度には、「あきた若者チャレンジ応援事業」から400万円の助成金を受け、音楽ワークショップには115名が参加、70%が継続希望という結果に。この活動により、音楽を通して自己表現ができる機会を生み出し、「安心して過ごせる空間が整った」との声が寄せられています。
ルフランが提供する4つの特徴
「ルフラン」は、引きこもりや生活困窮の若者に向け、次の4つのプログラムを展開。
1.
音楽・表現活動プログラム:演奏や創作活動を通じて、自己肯定感を育む場を提供。
2.
よろず便利屋サービス:共に高齢者を訪ね、生活支援をすることで地域とのつながりを深める。
3.
ユニバーサル就労支援:地域企業での実習を行い、無理のない形で社会参加を促す。
4.
アウトリーチ支援:外出が難しい方々への支援を訪問やオンラインで届け、つながりを培う。
これらのプログラムは、一人ひとりのニーズに応じたオーダーメイドの支援を実現しています。「音楽が得意でないけれど、地域での仕事ならば」という様々なリクエストに柔軟に対応しています。
社会の未来を見据えて
佐久間氏は「音楽には、人を再び社会へつなげる力があります」と語ります。支援する側とされる側を越え、共に生きる地域の形成を目指していくとしています。「ルフラン」のような新しいモデルが全国に広がり、誰もが自分らしく生きられる社会の実現に寄与する日を楽しみにしています。
近年、人口減少や孤立の問題に悩む秋田ですが、このような新しい形が未来の解決策を示してくれるかもしれません。音楽と福祉の融合が生まれる「ルフラン」で、新たな希望の波が生まれることを願っています。
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