新書『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』が、2025年2月17日に新潮社から発売されました。本書は、アメリカ人女性記者エリース・ヒューが、四年間の韓国ソウルでの生活を基に、美容やスキンケアに対する独自の考察を展開しています。彼女の実体験をもとにした奮闘記は、ユニークな視点で描かれた、美の帝国に埋もれた人々の物語です。
エリースは赴任先での美容に対する常識を学び、美容整形やスキンケアに対する考えがどのように根付いているのかを深く掘り下げます。彼女は自身も顔面注射を受けるなど、韓国の美容文化にどっぷり浸かりながら、そのスピリットを体験として吸収しました。このようにして、彼女はただの美容記者ではなく、新たな美容の境地に向かう探求者と化したのです。
特に本書では、注目すべきエピソードのひとつが、エリースが自身のそばかすについて考えるシーンです。彼女はこれまで無害と思われていた自分のそばかすを、韓国人たちからはどのように見られるのか、という視点を通じて、美容の基準がどれほど文化によって異なるかを考察します。彼女の視点から見ると、美の基準は単なる個人の嗜好ではなく、もっと複雑で根深いものであることがわかります。
また、本書には有名人たちからの推薦コメントも収められています。ジェーン・スーさんは、「美は権力であり経済と密接に結びついている」と語り、松田青子さんは「根深いルッキズムを自覚しなければ、本当の美容を楽しむことはできないかもしれません」と警鐘を鳴らします。宇垣美里さんも、「美しくなりたい理由を再考する必要がある」と発言し、非常に興味深い問いかけをしています。
目次には、ソウルの美容事情や、特に注目を浴びたBBクリーム、K-POPアイドルの影響など、各章が日本人の読者に向けて、深い情報と刺激を提供します。第4章では、エリースがそばかすへの理解を深める過程が描かれ、彼女の独特な視点が光ります。第7章では、驚異的な数の顔面注射を受けた彼女の心情にも触れ、実体験をもとにした美容文化の裏側を感じ取ることができます。
エリース・ヒューさんは、これを書いた背景に、社交界や業界のトレンドに敏感であることが挙げられます。彼女は自身の経験を通じて、美容が持つ力とそれに対する人々の考え方の多様性を掘り下げています。本書を通じて、私たちもまた、どんな美が本物なのか、その定義を探る旅に一緒に出かけることができるかもしれません。
本書は、美容についての先進的な概念や、複雑な文化背景を知るうえで、非常に面白く、かつ刺激的な内容となっています。美の基準を見つめ直し、自分自身の価値と向き合うきっかけになることでしょう。ぜひ手に取って、その魅力を体感してみてください。