2500年の歴史を超えて響くギリシャ喜劇『平和』が日本初上演
2025年10月17日から19日まで、東京都墨田区のシアターΧ(シアターカイ)にて、ギリシャ喜劇『平和』が日本初上演されます。これは、うずめ劇場の第42回公演であり、演出を手掛けるのはドイツ出身のP・ゲスナーです。チケットは現在、カンフェティにて販売中。
ギリシャ喜劇『平和』とは
『平和』は、古代ギリシャの喜劇作家アリストファネスによる作品で、戦争による混乱に対する風刺をテーマにしています。この作品は、旧東ドイツの劇作家ペーター・ハックスの手により翻案され、今回の上演に向けて後藤絢子が日本語訳を担当しました。戦後80年の日本に、この2500年前の笑いと風刺が響きます。
特筆すべきは、かつてこの作品が1960年代に東西冷戦時代のベルリンで600回以上上演され、最終公演では45分間のカーテンコールが発生したことです。それだけ多くの人々の心に響いた演劇が、現在の日本に蘇ることに大きな意義があります。
演出家P・ゲスナーの紹介
P・ゲスナーは、歴史的瞬間に生きた人物として知られています。彼は1990年にベルリンの壁が崩れた際、その現場にいた劇作家です。東西ドイツの悲劇と喜劇を体現した彼は、家族と共に日本に移り住み、うずめ劇場を設立しました。彼の30年にわたる日本での演劇活動の集大成ともいえる本作に期待が寄せられています。
あらすじとみどころ
物語は、商売が立ち行かず怒り心頭のブドウ農家トリュガイオスが、平和の女神を取り戻すために天界へ向かうというものです。彼の旅では、留守番のヘルメス神から、女神が戦争の神によって閉じ込められていることが告げられます。トリュガイオスは、女神を救うための壮大な冒険に挑むことになります。
この舞台では、独特の仮面劇形式が採用され、1人が複数の役を演じることで、観客に斬新な体験を提供します。また、生演奏に乗せたオリジナル音楽が、観る者を飽きさせず、楽しませてくれることでしょう。社会風刺に満ちたこの劇は、デマゴーグや煽動家が存在する現代の日本にも通じるメッセージを秘めています。
作品の社会的意義
ギリシャ喜劇『平和』は、日本での上演後、ベトナム国際実験演劇祭にも正式に招聘されています。戦争という共通の傷を持ち、平和を願う二国間のつながりを舞台を通じて共有します。うずめ劇場は、社会的な問題に取り組む演劇を常に追求しており、先日上演された『ニッポン人は亡命する。』に続き、文化や社会に対する深い考察を観客に提供しています。
キャスト紹介
今回の公演キャストには、うずめ劇場のメンバーだけでなく、注目の客演者が揃っています。政治風刺の名手として知られる松下アキラが哲学者役に挑戦し、落語家としての初挑戦となる林家きく麿が武器商人役を演じます。また、人気YouTuberの「みっつん」と新人俳優の番家玖太も参加し、若い世代の観客にもアピールします。
彼らの共演によって、世代を超えたエネルギーを持つ舞台が実現されることでしょう。
チケット情報
チケットの購入は、カンフェティのウェブサイトを通じて可能で、カンフェティ会員には割引価格も用意されています。一般は5000円、大学生は3000円、中高生は1000円、小学生は500円と、幅広い層が楽しめるキャンペーンが展開されています。開演の30分前には開場し、全席自由でスムーズに入場できる工夫もされているため、ぜひ早めに訪れることをおすすめします。
最後に
演出家P・ゲスナーが手がけたギリシャ喜劇『平和』は、私たちに「考え、行動する勇気」を与えてくれる作品です。2500年前のメッセージが現代に生きることを、劇場でぜひ体験してください。上演期間中、皆様のご来場を心よりお待ちしております。