不登校という現実に向き合う勇気を『不登校から人生を拓く』が伝える
夏休みが終わり、9月1日がやってくると、多くの学生が学校に戻る一方で、心の内に様々な不安を抱える子どもたちも少なくありません。特にこの日は、18歳以下の子どもの自殺者数が年間で最も多い「9月1日問題」として広く知られています。文部科学省の調査によると、2023年度には34万人以上の小中学生が不登校を経験しました。この文脈の中で、福祉の専門家である池添素さんと、ジャーナリストの島沢優子さんが描く『不登校から人生を拓く――4000組の親子に寄り添った相談員・池添素の「信じ抜く力」』には、多くの親子が心の救いを見出す言葉が詰まっています。
相談員・池添素との出会い
池添さんは40年以上にわたり、4000組以上の親子に寄り添ってきた相談員です。京都市で児童福祉センターに勤務した後、仲間と共に子ども支援の福祉施設を立ち上げました。その第一線での豊かな経験と、的確なアドバイスは多くの人々に影響を与えています。彼女の言葉はただの助言にとどまらず、親たちに自信を取り戻す手助けをしています。
心に響く言葉たち
本書を通じて池添さんは、学校に行けない子どもたちへの理解を促します。「学校に行かんでも大丈夫。充電期間やし」という言葉は、子どもたちの心に寄り添う姿勢を表しています。また、「子どもが学校にいけないのは、自分の中にエネルギーが無くなってるから」といった言葉は、特に親にとって大きな気づきとなることでしょう。子どものペースに寄り添い、その内面に目を向けることの重要性を再認識させられます。
親に寄り添う視点の重要性
本書では、発達障害や「グレーゾーン」の子どもたちに関するリアルな声も取り上げています。「普通は学校行くでしょ?」という周囲の期待の中で苦しむ親や、学校の先生、小児科医、当事者である子ども自身の視点が交差する中で、池添さんの言葉がどのように響いているのかが描かれていきます。
著者の島沢さんも自身の息子の不登校を経験しながら、この連載を通じて様々な実体験を交えて語っています。池添さんの言葉は、親が不安を解消し、子どもとの信頼関係を築くための大切な手がかりとなるのです。
トークイベントの開催
本書の刊行を祝して、9月23日に島沢優子さんと池添素さんによるトークショー&サイン会が開催されます。このイベントでは、「子どもが学校に行きたくないとき、どう受け止めればよいのか?」や「“信じて待つ”ために必要な視点」といったテーマが議論されます。教育や子育てに悩む親たちにとって、非常に有意義な時間となることでしょう。
会場では、もし悩みを持っている人がいれば、ぜひ池添さんと島沢さんの声を直接聞いて、自分自身の考えを広げてほしいと思います。
書籍情報
『不登校から人生を拓く』は、さまざまな立場からのリアルな声を集めた一冊であり、親子で一緒に考える大切な資料ともいえるでしょう。子どもが幸せになるためには、何が必要なのか、一緒に考えるきっかけを提供してくれます。アマゾンやリアル書店で手に入れることができますので、ぜひ手に取ってみてください。