壮大な歴史背景とサスペンスが交錯する『フィレンツェに悪魔が彷徨う』
新潮文庫から、D.V.ビショップによる新作小説『フィレンツェに悪魔が彷徨う』が2026年7月29日に刊行されます。この作品は16世紀のフィレンツェを舞台に、猟奇殺人事件を解決しようと奮闘する夜間治安官の物語です。本作は、世界的に有名な犯罪小説の賞であるCWAゴールド・ダガーとヒストリカル・ダガーの両部門で最終候補に名を連ねており、その期待度は非常に高まっています。
物語は1539年、コジモ・デ・メディチの統治下にあるフィレンツェから始まります。夜間治安官に降格されたチェーザレは、外出禁止令が敷かれた雨の夜に、不審者を追っています。そうして彼が出会うのは、ダヴィデ像の下で惨殺された男の遺体。さらなる悲劇は、翌日にも同様の事件が発生することによって引き起こされます。猟奇的な連続殺人が繰り広げられる中、同性愛や悪魔祓い、ヴェネツィアとの情報戦といった複雑な要素が絡み合い、物語はますます深淵へと進んでいきます。
主人公チェーザレのキャラクターは、本作の大きな魅力の一つです。彼は同性愛者であることを内に秘め、自らの正義感を持ちながら、事件解決に乗り出します。その姿勢に、読者は強い共感を抱くことでしょう。また、かつての部下ストロッキとの微妙な関係も、物語に奥行きをもたらしています。ストロッキはチェーザレの過去の罪を疑っており、彼らの相互作用が緊張感を高めています。
本書の翻訳を手掛けたのは、英米文学翻訳家・熊谷千寿氏。彼の訳書は多岐にわたることから、読者は本作でもその力量を存分に感じることができるでしょう。D.V.ビショップは、作家であり脚本家としても活動し、その作品は歴史ミステリーのジャンルで高く評価されています。2018年に受賞したブラッディ・スコットランド国際犯罪小説祭のピッチ・パーフェクト・コンペティションで優勝後も、数々の賞にノミネートされ、昨年にはNZブックローバーズ賞を受賞するなど、着実にキャリアを積んでいます。
『フィレンツェに悪魔が彷徨う』は、緻密でリアルな歴史描写とサスペンスフルな展開が魅力の作品であり、幅広い読者層に楽しんでいただける内容です。明るいエンターテインメント性と深い人間ドラマが融合した一冊は、今後の文学シーンで話題になること間違いなしです。文学好き、歴史サスペンスファンは、ぜひ手に取ってみてください。彼の傑作が、あなたの心に深く刻まれることでしょう。