ダグラスの知恵
2026-09-16 11:49:55

新刊『社会が壊れるその前に』でメアリ・ダグラスの知恵を再考

磯野真穂の新刊『社会が壊れるその前に』が注目



人類学者の磯野真穂さんが、9月28日(月)に新刊『社会が壊れるその前にメアリ・ダグラスの人類学』をリリースします。本書は、現代社会を構成するさまざまな現象や感情、特にセカイ系や「推し活」といった活動に対する深い洞察を提供します。磯野さんは現在、東京科学大学の教授を務めており、過去には宮野真生子さんとの共著『急に具合が悪くなる』が映画化され、カンヌ国際映画祭で最優秀女優賞を獲得するなど、今注目の文化人類学者です。

本書では、メアリ・ダグラスの古典的著作『ナチュラル・シンボル』が特に取り上げられています。ダグラスは、この著作を通じて、近代社会の様々な側面、特に人々が感じる孤独や不安、そしてそれがどのように現代に影響を及ぼしているかを分析しています。彼女の考えは、まるで現代を予見していたかのよう。特に、競争社会や能力資本主義が人々に与える影響について警鐘を鳴らしています。

ダグラスは、個人が抱える不安や疑問を探求するなかで、社会が分断されていく様子も見逃してはいません。ひとりひとりが個性を求める一方で、民族や国家などの大きな存在に救いを求める人々が増えていく中、私たちはどのようにして穴を埋めていくのか。セカイ系や推し活と呼ばれる新しい現象の背後には、こうした深い心理的動機が潜んでいると磯野さんは考えています。

現代社会における「象徴」の役割



本書の核心となるのは「象徴」という概念です。日本国憲法においても、国家の象徴が重要視されているように、象徴は私たちの社会を動かす大きな力を持っています。しかし、一般的な理解として、象徴がどのようにその力を発揮し、私たちの行動に影響を与えるのかについて考える機会はあまり多くありません。

磯野さんは、象徴の力が働くときには、論理よりも情動が重要になることを強調します。善き社会を作るためには、自己の内側にどのような象徴が存在しているのか、そしてそれがどのように社会に影響を与えているのかを内省することが求められます。また、善き社会を作ることを目指す努力が、逆に社会を悪化させることもあるため、見直しが必要です。

このような視点から、ダグラスの人類学的視考を現代に適用し、孤独や不安、競争などと向き合いながら、より良い社会を作るための方策を提示しているのが本書の最大の魅力です。

試し読みの公開



さらに、発売に先立ち、本書の「はじめに」と第三章の冒頭が試し読みとして公開されています。この内容を通じて、磯野さんの考えや本書のテーマに触れることができるため、ぜひ手に取ってみてください。

試し読みはこちら

磯野真穂とは?



磯野さんは長野県安曇野市出身で、多岐にわたる専門的な背景を持つ人類学者です。早稲田大学での学びを経て、文化人類学に特化し、現在では多くの著書を執筆しています。その中には、食や医療に関するさまざまなテーマが含まれています。ダグラスの議論を通じて、現代の私たちがどのように生きるべきかを考えるための貴重な一冊に仕上がっています。

本書『社会が壊れるその前に』は、現代社会を生きる私たちに必要な視座を提供するとともに、未来に向けての道筋を照らし出す重要な著作です。ぜひ手に取って、深い洞察を体験してみてください。


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