佐藤優氏が語る『残された時間の使い方』
2025年12月26日、株式会社クロスメディア・パブリッシングから元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による書籍『残された時間の使い方』が発売されました。本書では、人生の後半に必要な生き方や働き方に焦点を当て、特に45歳からの「残り時間」にどう向き合うかを論じています。著者は、自らの病気の経験を背景に、限られた人生の時間をどのように使うべきかを深く考察しています。
SNSに潜む「時間泥棒」の正体
現代社会は、「時間泥棒」と呼ばれるさまざまな要素で溢れています。SNSやスマホゲームは、私たちの貴重な時間を巧妙に奪う存在です。著者は、これらのツールが私たちの日常をいかに支配しているかを鋭く指摘しており、実際に自分が選択していると思い込みがちな行動が、他者によって操作された「他者時間」として機能している様子を明らかにしています。
彼はマルクスの『資本論』を引用し、現代的人々が時間を搾取されている構造を分析。時間の医療と効率性が求められる現代において、私たちがいかに自分の意志を取り戻すかが重要であると訴えています。
「足し算の時間」から「引き算の時間」へ
著書の中で提案されるもう一つの重要なテーマは、45歳を境に「時間の質が変わる」ということです。若い頃は、経験や知識を積み上げる「足し算の時間」とされる期間ですが、55歳を超えると、蓄積されたものをどう活用していくかを問われる「引き算の時間」が主になります。この視点は、定年後の生活設計にも影響を与え、不安を希望に変える手助けになると著者は述べます。
彼は具体的な生存戦略を9つのマトリクスを用いて解説し、環境に応じた柔軟な働き方の考察も含めています。
「休養」と「教養」の重要性
ただ忙しさを追求するばかりではなく、著者は「休養」と「教養」の大切さを訴えています。休養は単なる怠けではなく、振り返りや自己理解のために不可欠な時間であり、教養の蓄積が長期的な力に繋がることを強調しています。
旧約聖書の天地創造の神の休憩や、『余暇と祝祭』の著者ヨゼフ・ピーパーの考え方を借りて、時間には意味があり、質の高い時間を持つことの必要性を強調します。
読者に向けたメッセージ
本書は、忙しい毎日を送っている方や、SNSやスマホに時間を取られていると感じる人、また、40代を迎え今後の人生を見直したい人、定年後の人生設計に不安を抱えている人、時間管理の技術を学びたいビジネスパーソンにとって、非常に有益な内容となっています。著者の言葉から、残された時間をどのように活かすか、その考察のプロセスを知ることで、新たな視点を提供してくれるでしょう。
佐藤優氏について
佐藤優氏は、1960年に東京都で生まれ、同志社大学神学部を卒業した後、外務省に入省しました。彼は在ロシア日本大使館での勤務を経て、対ロシア外交などで活躍しましたが、後に逮捕されるという挫折を経験しました。その後、執行猶予を経て再び著作活動に戻り、多数の著書を残しています。本書は、彼の多彩な経験が反映された価値ある一冊です。
書籍詳細
書籍名: 『残された時間の使い方』
著者: 佐藤優
定価: 1,760円(税別)
体裁: 四六判/208ページ
ISBN: 978-4-295-41172-7
発行: 株式会社クロスメディア・パブリッシング
発売日: 2025年12月26日
この本を通じて、読者は自らの「残された時間」の使い方を見つめ直し、新たな生き方を模索するきっかけになることを期待しています。