速水健朗著『機械ぎらい機械音痴のテクノロジー史』新刊レビュー
速水健朗氏の新著『機械ぎらい機械音痴のテクノロジー史』が、2026年3月17日に集英社から発売されました。本書は、私たちの生活に浸透した最新技術が、実は使いにくい側面を持っていることに焦点を当てています。その内容は、私たちが日常で直面する新しいテクノロジーが、時に不便である理由を探る試みです。
新技術とその不便さ
カフェでのモバイルオーダー、コンビニでのセルフレジ、さらにはオンライン予約といった、効率化をとうたう新しいシステム。しかし、これらが奨励する効率が、実際には「機械苦手な人々」にとってはハードルとなり、時にストレスへと変わることがあるのです。速水氏は、最新技術が「機械音痴」の存在を考慮せずに設計されていることが、このジレンマを生む原因だと指摘しています。
本書の構成
本書は全6章から構成されており、各章で異なる切り口から技術と私たちの日常生活について考察しています。第1章では、飲食業界で普及したタッチパネルやQRコードについて、効率化が生む新たな問題に触れています。予約社会の到来については、第2章で「調整さん」などの新たなツールの限界を探ります。第3章ではエレベーターの歴史から人間のユーザーインターフェースにおける課題について掘り下げ、第4章で高機能機器がもたらす混乱について言及。
第5章では、冷蔵庫や鉄道など、特定の技術への抵抗感を通じてテクノロジー史を探求し、最終章では人々が新たな技術に適応できない理由を考察します。速水氏が提案するのは、真に「便利な」技術とは何か、私たちの社会がどのようであるべきかという問いです。
著者について
著者の速水健朗氏は1973年に石川県生まれで、コンピューター誌編集者を経て2001年からフリーランスのライターとして活動してきました。主な著作には『1995年』や『ラーメンと愛国』などがあり、2022年にはポッドキャスト「これはニュースではない」を開始しています。彼の豊富な経験を実に活かし、本書も知的好奇心を刺激する内容となっています。
まとめ
新著『機械ぎらい機械音痴のテクノロジー史』は、現代のテクノロジーがもたらす効率化の陰に潜む問題を明らかにし、私たちの生活がどのように変化しているのかを考察する貴重な一冊です。テクノロジーが苦手な方々や、新しい技術に対して疑問を感じている方にこそ手に取っていただきたい一冊と言えるでしょう。