N響とNTTが手を組み、音楽教育プログラムを展開
昨年度より、N響(NHK交響楽団)とNTT東日本グループは、地域の中高生たちへの音楽教育プログラムを通じて新たな試みを行っています。音楽が持つ力を信じ、次世代の音楽家を育成するために、今年度も宮城県富谷高等学校と仙台第一高等学校を対象にした取り組みが始まります。
プログラムの背景と目的
N響は1985年から「音楽はコミュニケーション」をテーマに様々なコンサートを開催してきました。音楽を通じて心豊かな社会を形成することを目指し、子どもや高齢者、災害被災者への特別コンサートも実施しています。NTT東日本とNTT ArtTechnologyは、地域の文化を支えるため、音楽教育プログラムを設けることで、地域の風土と文化の融合を目指しています。
昨年度は福島市で音楽教育を行い、今回は宮城県に焦点を当て、特に弦楽合奏部と吹奏楽部の生徒たちを対象としています。このプログラムは、音楽に興味を持ってもらうことと、演奏技術を向上させることを目的としています。
今年の取り組み内容
今年のプログラムは3つのステップで実施されます:リハーサル見学、出張レッスン、オンラインレビュー。
1. リハーサル見学
生徒たちは仙台公演のリハーサルを見学し、生の演奏を体験しました。参加者はタブレット端末を使用し、3つの視点から演奏を楽しむ「マルチアングル配信」を体験できました。どのアングルから演奏を見るかを選び、その様子を楽しむことができたのです。
さらに、注目の若手指揮者・湯川紘惠氏による楽曲解説も実施されました。生徒たちは耳をふさがない特殊なイヤフォン「耳スピ」を使い、リハーサル中の演奏者たちのやり取りを身近に感じる体験をしました。解説の中で、楽曲の聴き所や楽器の使用法を学び、音楽への理解を深める貴重な機会となりました。
2. 出張レッスン(今後実施予定)
両校の生徒たちは、N響のメンバーから直接指導を受ける出張レッスンに参加します。楽器ごとにパートレッスンと合奏レッスンが行われ、個人の技術向上と同時に、チームとしての演奏の調和を目指します。生徒たちの演奏スキルがどれほど進化するか楽しみです。
3. オンラインレビュー
生徒たちが練習した演奏に対し、N響のメンバーが遠隔からレビューを行います。自己改善のフィードバックを受けながら、さらなる学びを促進する仕組みが整っています。
今後の展望
このプログラムを通じて得られた成果を基に、さらに多くの地域に音楽教育プログラムを広げることが期待されます。また、新たな技術と手法を取り入れることで、地域活性化への貢献を果たしていく計画です。
音楽を通じて育まれる人と人とのつながりが、より深まることを願っています。音楽教育プログラムは、ただの音楽体験を超え、参加者一人ひとりの未来を切り開く手助けとなることでしょう。