星野藍の新作『旧ソビエト連邦を歩く』が発表
2023年12月16日、辰巳出版から新たに発売される『旧ソビエト連邦を歩く』は、気鋭の写真家・星野藍が手がけた写真と紀行文で構成されたエッセイ集です。この作品は、社会主義の理想が実現されたはずのソビエト連邦の跡地に息づく歴史と文化を感じることができます。
ソビエト連邦の歴史的背景
1922年に成立し、1991年に崩壊したソビエト連邦は、一時的には平等と団結を掲げたユートピアとも言えました。しかしその実態は、抑圧と沈黙の上に築かれたものでした。この長い歴史の中で、さまざまな人間模様と晒されてきた建物や記念碑は、今もなお時代の名残を感じさせます。
ソビエトの終焉後、30年以上が経過した現在では、かつての混乱はほぼ収束し、失われた文化や歴史に興味を抱く人々が増えています。実際に旧ソ連の構成国や未承認国家を訪れたくなるのも無理はありません。
星野藍の旅の記録
星野藍は、旧ソ連の15カ国をほぼ網羅し、さらにはナゴルノ・カラバフ、アブハジア、南オセチア、沿ドニエストルなどの未承認国家とも呼ばれる地域にも踏み入れています。彼女の作品は、ただの無機質な廃墟としての景色を捉えたものではなく、かつての栄光と今の静寂が交差する瞬間を映し出しています。
本書では、星野が捉えた壮大な建築物から、現地の人々の生活や文化に至るまで、多様な側面が描かれています。彼女の写真は、歴史の巨石に圧倒されることなく、日常の中に宿る美しさを引き出します。
各章の内容
本書は4つの章に分かれており、各地域の特色が詳述されています。第1章ではウクライナやロシア、その周辺国の風景を、続く第2章では中央アジアの5カ国、第3章にはバルト三国が登場し、第4章ではコーカサス地域の文化や人々が紹介されます。それぞれの章には、独自の文化や歴史が宿る写真が多く配置されており、まるでその土地を旅しているかのような感覚を味わえる内容になっています。
特別なコラムも
特筆すべきは、各章に挿入されるコラムです。廃軍事基地の不気味な音や、海辺の食堂の独特な景色など、旅でしか出会えないリアルな体験が描かれています。特に、ウズベキスタンのバザールやリトアニアの名物料理など、読者の興味を引く内容が盛りだくさんです。
星野藍のプロフィール
福島県出身の星野藍は、写真家でありグラフィックデザイナーでもあります。彼女は、過去に撮影した廃墟の魅力を追求し続けており、特に旧共産圏や未承認国家への探求心で知られています。数々のアワードを受賞した実力派の写真家です。
まとめ
『旧ソビエト連邦を歩く』は、失われた歴史を辿りつつ、今でも息づく人々の生活や文化を映し出しています。星野藍の豊かな視点が描いたこのエッセイ集は、読み手に新たな発見と感動を与えてくれることでしょう。興味のある方は、ぜひ手に取って、その視覚的な旅を体験してみてください。