文藝賞受賞作品決定!坂本 湾の『BOXBOXBOXBOX』
8月19日、明治記念館で行われた第62回文藝賞の選考会にて、坂本 湾の『BOXBOXBOXBOX』が受賞作に選ばれました。この文学賞は1962年から始まり、毎年数多くの新人作家を輩出してきた名門賞です。選考委員には、著名な作家である角田光代、小川哲、町田康、村田沙耶香の4名が名を連ねました。
受賞作『BOXBOXBOXBOX』の詳細
坂本 湾(さかもと・わん)、1999年生まれの25歳。北海道で生まれ、宮古島で育ち、現在は東京都に在住。受賞作『BOXBOXBOXBOX』は400字×139枚という構成で、壮大なテーマを扱っています。
物語は、ベルトコンベアで流れる箱の中身を妄想しながら作業に従事する主人公・安(あん)の目を通して描かれます。霧に包まれた配送センターで無限ループ的な仕分け作業に従事する中、安はある禁じられた箱に興味を抱くことになります。それゆえ、彼の見える風景は次第に変化し、実在するはずの箱が消え始めるという幻想的な展開が待っています。
この作品は作業員たちの日常の倦怠と、そこに潜む衝動を巧みに描写した「ベルトコンベア・サスペンス」として、ブルシットジョブという現代の労働概念にも鋭く切り込んでいます。また、物語の中にある人間の尊厳というテーマは、読み手に深い考察を促します。選考委員もこの作品の独自の視点と深い洞察力に感銘を受けたと言います。
選考委員のコメント
選考過程や受賞の背景は、10月7日発売の「文藝」冬季号に詳しく掲載される予定です。また、贈呈式は11月中旬に改めて行われ、受賞者には記念品が贈られ、副賞として50万円も支給されます。
文藝賞の意義と歴史
文藝賞は河出書房新社が主催する賞であり、創設以降数多くの才能を発掘してきました。最初の受賞者は高橋和巳で、以来、田中康夫、山田詠美、羽田圭介など、多くの作家たちがこの賞をきっかけに文壇に登場しました。坂本 湾も、この名誉ある団体に名を連ねることになり、彼の未来にますます期待が寄せられています。
今年の受賞作はどのように私たちの心を捉えるのか。文藝賞はこれからも新たな才能を世に送り出す舞台であり続けます。ぜひ『BOXBOXBOXBOX』を手にとって、その魅力を体感してみてください。
公式サイトへのリンク
さらに詳しい情報は、
雑誌「文藝」公式サイトをご覧ください。次回、第63回文藝賞の原稿募集についても是非チェックしてみてください!