SPAC秋のシーズン2025-2026が開幕!
静岡県舞台芸術センター、通称SPACは、2025-2026年の秋のシーズンを迎えます。今年はアーティスティック・ディレクターに劇作家の石神夏希を迎え、彼女の手腕で新たな演劇体験が提供されます。SPACはこのシーズンに、観客に「物語を編み直す勇気」を与えることをテーマにした3作品を上演します。
物語の再構築
私たちは生まれた時から、家族や社会、時代といったさまざまな物語に囲まれています。しかし、これらの物語は本当に私たち自身が選んだものなのでしょうか。SPACは、そんな問いかけを通じて、観客が自分自身の物語を見直し、新たな視点を持つきっかけを提供します。
秋のシーズンの幕開けを飾るのは、石神夏希が演出を手掛ける『弱法師(よろぼし)』です。この作品は、三島由紀夫による戯曲を基にしており、静岡芸術劇場で初めて創作されたものです。石神は、この作品を再構成することで、観客に新しい視点をもたらすことを目指しています。
『弱法師』の魅力
『弱法師』では、失明した青年・俊徳の孤独と苦悩が描かれます。彼は家庭裁判所で親権を巡る調停を受け、調停委員との会話を通じて絶望感に直面します。この作品は、観客にとっても自身の苦悩や人間関係を見つめ直す機会となることでしょう。
石神の演出は、切実で深いメッセージを届け、観客に「今」を生きる重要性を訴えます。さらに、演技は観客との対話を促し、強い共感を呼び起こします。
多彩な作品のラインナップ
秋のシーズンでは、石神の他にも、演出家・上田久美子による『ハムレット』や、多田淳之介の『ガリレオ〜ENDLESS TURN〜』といった新作も上演されます。
上田の『ハムレット』は、デンマークの王子が父の死を受けて復讐を決意する物語で、大衆と芸術の架け橋を目指す作品です。また、多田の『ガリレオ』では、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイの人生を舞台に描くことで、現代における「真実」について問いかけます。
これらの作品は、週末のみに限定されず、平日には中高生鑑賞事業公演も行われ、若い世代が舞台芸術と触れ合う場を提供します。
観劇を楽しむためのサポート
SPACでは鑑賞サポートも充実しています。音声ガイドや英語字幕の提供、親子室、託児サービスなど、観客が安心して楽しめる工夫がなされています。
また、各作品に関連する企画として、Podcastやnoteを用いた対話も行われ、石神と静岡地域のアーティストたちとの対話を通じて、舞台芸術の豊かさを伝える取り組みも始まります。
最後に
SPAC秋のシーズンは、新たな演劇の枠組みを提供し、観客が自らの物語を再考するための貴重な機会となります。ぜひこの機会をお見逃しなく、劇場での体験をお楽しみください。