心を撃つ建築美『感動建築』、光と水の瞬間を捉えた傑作写真集
日本各地に点在する実に86作品の建築が収められた写真集『感動建築』が、写真家の高橋福生の手によって結実しました。この書籍は、ただの建築写真集ではありません。高橋氏が長年の間、光と水の交錯する美しい瞬間を待ち続け、その一瞬をシャッターに収めた結果生まれた、まさに永久保存版とも言える一冊です。
厳選された建築86作品
この272ページにわたるボリュームある作品集では、日本全土に散らばる名建築が、最も美しい瞬間に捕らえられています。高橋氏は、例えば水と光のシンメトリーを巧みに描写し、坂茂設計の『静岡県富士山世界遺産センター』や、安藤忠雄の『真駒内滝野霊園頭大仏殿』などの作品が見事に水面に映し出される瞬間を捉えています。
特に、水盤が完璧な鏡像を描く瞬間や、日没後の美しい光が建物に反射する一瞬を切り取ったコマは、まさに息を呑む瞬間です。高橋氏の視点は、建築家の思想が風景としてどのように昇華するのかを深く掘り下げるもので、この一瞬が建物の「魂」を覗かせる瞬間となっています。
異形の美学と素材の野性
本書には、藤森照信の『空飛ぶ泥舟』や隈研吾の『雲の上のギャラリー』など、伝統技法と創造的なデザインが共存する「生きている建築」の美しさも取り上げられています。これらの作品は、ただの構造物ではなく、その背後に控える考え方や理念までもが感じられ、まるで建築が語りかけてくるかのようです。
特に、都市の聖域としての東京の建築も見逃せません。丹下健三の『東京カテドラル聖マリア大聖堂』や新たに登場した『麻布台ヒルズ』、さらには公共建築の概念を覆した『THE TOKYO TOILET』プロジェクトに至るまで、多様な作品が一堂に会しています。
切ないオマージュと特別インタビュー
また、特別章では惜しまれながらも解体された名建築に対するオマージュが込められており、永田祐三設計の『三基商事東京本部第1ビル』といった失われゆく感動建築にも触れています。このように、感動的な美しさとともに切ない思いも結びつけられています。
最後には、世界的建築家・隈研吾氏への特別インタビューや、日本画家・千住博氏が軽井沢千住博美術館での特別撮影も収録されており、より深い視点から建築を味わえる内容になっています。
写真家のプロフィールと新たな一歩
高橋福生氏は「水と光の情景写真家」と称され、癒やしをテーマにした作品で高い評価を受けています。本書を通じて彼が切り取る瞬間がどれほど魅力的であるか、そして建築の持つ力を改めて感じることができます。心を動かされる感動建築の美しさを、ぜひ手に取って実感してみてください。
本書『感動建築』は2026年7月3日に発売予定で、定価は2,970円です。建築好きな方はもちろん、視覚で楽しむ一冊としても楽しめる内容が詰まっています。