草野絵美の個展『EGO in the Shell』がニューヨークで開催

草野絵美のニューヨーク初個展『EGO in the Shell』

2025年9月22日、アートの聖地であるニューヨークにて、AIアーティスト草野絵美による没入型個展『EGO in the Shell: Ghost Interrogation』が開幕します。本展は、伝説的な作品『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』との公式コラボレーションによって制作されたもので、10月8日から始まり、訪れる人々に新たな視点を提供します。

未来と過去の交差点

草野絵美の個展は、記憶、監視、そしてアイデンティティが交差する場を創出します。サイバーパンクの世界観を背景にした本展では、現在のAIの進化が私たちの「自我」に与える影響について、観客自身が考えるきっかけを与えます。草野は、自身の身体をモデルにしたAIを用いて「架空の幼少期」を再構築し、存在しない記憶のもたらす感情に迫ります。

展示は、主に三つのテーマに分かれています。AIによる架空の幼少期を表現した映像作品群、予測された『攻殻機動隊』の未来像を描く作品群、CRTモニターを利用した彫刻やホログラム体験のインスタレーションまで、草野は多様な手法を駆使しています。これらの要素が組み合わさることで、記憶と虚構の新たな境界線が提示されるでしょう。

仏教哲学とサイバーパンクの融合

本展は、東洋思想に基づく「空」や「縁起」といった概念を取り入れており、草野自身の過去の断片にAIによる再構築を重ね合わせています。このプロジェクトは、記憶の儚さと自我の不安定さを探求する試みであり、観る者に「永続」と「無常」の二つの対義語を実感させます。草野は、『攻殻機動隊』がもたらした哲学的な問いに現代の文脈を加え、記憶と感じること、現実を生きる意味について考えさせます。

展示構成の詳細

会場内の上層部分では、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』から着想を得た草野のデジタル・アイデンティティの探求が示されます。ここでは、デジタルな自己と脆弱な記憶の微妙な関係が探られ、アートとテクノロジーの交差点に立つ新しい視点が提供されます。

一方、下層の「Ghost Interrogation」エリアは、サイバーパンク的な尋問室を模した没入型の体験を提供します。草野は、CRTモニターを駆使した彫刻で自身の私的な記憶を映し出し、さらにホログラフィック技術を用いて自らの「尋問者」と「尋問される者」を同時に演じる印象的な演出を行います。この体験を通じて、AIによって模索される記憶のあり方が問われ、来場者はその境界を再考することを促されます。

国際的な評価と活躍

草野はこれまでにも、様々な国際的な舞台で高い評価を得ており、ヴィクトリア＆アルバート博物館や金沢21世紀美術館などで作品を展示してきました。更にはChristie’s × Gucciとのコラボレーションも果たし、アートの最前線に立つ重要なアーティストとしての地位を確立しています。

彼女の作品がもたらす未来的な視点とアイデンティティの探求は、現代社会における「自我」について再考させる重要な試金石となるでしょう。『EGO in the Shell』は、ただのアート展ではなく、我々自身を見つめ直すための旅路なのです。ぜひ、この新たな表現の空間を体験してみてください。