組織の成長を促す新しい「共通言語」の構築法
組織が直面するコミュニケーションの課題を根本から解決する新書『職場の共通言語のつくり方』が2025年5月30日に発売される。この書籍は、東京大学の特任研究員である堀越耀介氏によって執筆され、5000人以上の対話分析をもとにした「哲学対話」メソッドを解説している。著者は、この新しいアプローチによって、組織内のコミュニケーションを根本から変える方法論を提示している。
なぜ「言葉の壁」は存在するのか?
同じ言葉を使っているのに通じ合えないという悩みは、ビジネスシーンでは珍しくない。たとえば、若手社員に指示を出した際に期待通りに動いてくれなかったり、会議が堂々巡りになって結論が出なかったり、さらには会社の理念が現場に浸透しないといった問題が挙げられる。これらの課題の背後には、しばしば「言葉の壁」が存在している。
堀越氏は、同じ言葉を使っても意図やニュアンスがそれぞれ異なり、組織のメンバーが「通じているつもり」になっていることが、成長を妨げる原因であると分析している。このような言葉のズレは、世代の違いや働き方・価値観の多様性によって生じている。
何が「共通言語」なのか?
「共通言語」とは、全メンバーが納得し、自律的に動けるようになるための言葉である。この概念は単なる合言葉とは異なり、意味や具体的なイメージが共有されることが不可欠である。たとえば、「遊び心」という行動指針があっても、それが何を意味するのかを全員が説明できないのであれば、その言葉は意味を持たない。著者は、全員がその真意を理解し語れるようになることで、強力な「共通言語」が形成されると述べている。
組織の変革を促す「共通言語」
堀越氏は、哲学と対話を融合させたコンサルティングを多様な企業で行っており、その成果を紹介している。近年、言語化スキルには注目が集まっているが、堀越氏の「哲学対話」による「共通言語化」は、参加者全員の理解を深め、潜在能力を引き出すことに寄与する。
この手法を取り入れることで、組織には以下のような変化が期待できる。
1. 認識のズレがなくなり、意図が効果的に伝わる。
2. 世代や立場の壁を越え、お互いの価値観を理解し合える。
3. 遠慮や忖度がなくなることで、本質的な議論が生まれる会議になる。
4. メンバーが自分自身の判断で行動するようになる。
5. みんなで「最適解」を考える文化が形成される。
書籍の構成と読みどころ
本書は以下の構成になっている。
- - はじめに職場の「言葉の壁」を乗り越える
- - 第1章なぜ共通言語が重要なのか
- - 第2章共通言語づくりの型
- - 第3章共通言語をつくる「思考」の技術
- - 第4章共通言語をつくる「対話」の技術
- - 第5章共通言語が生まれる文化をつくる
- - おわりに対話の力で企業は変わる
この本では、実践に役立つフレームワークやテクニックが豊富に盛り込まれており、実例やモデルケースも豊富に掲載されている。特に、部下や上司とのコミュニケーションに課題を感じている方や、チームや組織のコミュニケーション改善に取り組むリーダーへお勧めである。
著者紹介
堀越耀介氏は、東京大学共生哲学講座の特任研究員であり、哲学コンサルタントとしても広く活動している。彼の経験は、5000人以上の対話ファシリテーションをもとに、企業が抱える課題に対して実践的な解決策を提供することに役立っている。
書籍情報
- - 書籍名: 職場の共通言語のつくり方
- - 著者: 堀越耀介
- - 定価: 1,848円(本体1,680円+税)
- - 体裁: 四六判 / 224ページ
- - ISBN: 978-4-295-41099-7
- - 発行: 株式会社クロスメディア・パブリッシング
- - 発売日: 2025年5月30日
この書籍を通じて、組織内の「言葉の壁」を乗り越えるヒントを得ることができるだろう。