小さな出版社の快挙
2024年5月に設立された出版社、株式会社ハレル舎が二冊目の作品「縄文の子」を発表しました。この作品が、公益社団法人全国学校図書館協議会によって第58回「夏休みの本」に選定され、小学校高学年向けの推薦図書として全国に広がることが決定しました。これにより、ハレル舎のメッセージが数多くの子どもたちに届く新たな道が開かれました。
出版の厳しさと新たな希望
書店の児童文学コーナーは縮小傾向にあり、新作の国内児童文学が海のように広がる洋書の陰に埋もれてしまうのが現実です。しかし、「縄文の子」が学校の夏休みの本に選ばれたことで、作者と出版社の努力が実を結びました。この選定は、単なる販売数では測れない重要な意味を持っています。
出版の目的は、子どもたちに夢中になれる物語を届けること。ハレル舎は、子どもたちが魅了される本を生み出すためにこの道を突き進んできました。
「縄文の子」の思い
「縄文の子」は、関口みどりさんが10年間の思索を経て形になった作品です。物語の中には、勇敢でたくましく生きる縄文時代の人々の暮らしが色鮮やかに描かれています。人々が抱く美や調和の精神は、今を生きる私たちにも勇気を与えてくれます。
この本に込められたメッセージは、子どもたちが自分のルーツを意識し、誇りを持って生きるための手助けをすることです。物語に登場する兄弟の冒険を通じて、読者は「私たちのはじまり」に気づき、困難に立ち向かう強さを感じるでしょう。
イラストにも見る温かさ
作品の魅力をより一層引き立てるのは、イラストを手掛けた谷苑子さんの温かいタッチです。木炭を使った手描きのイラストは、読み手に物語の世界をリアルに伝えます。彼女の作品がどう物語に影響を与えているか、読者にはぜひ目を通してほしいです。
「共同創作」という新しい出版の形
ハレル舎が提唱する「共創出版」は、著者と出版社が互いの強みを生かす新たな出版スタイルです。従来は自費出版や企画出版という選択肢しかありませんでしたが、ハレル舎はその中間点を目指し、著者が伝えたいことを大切にしつつも、専門的なサポートを提供しています。このアプローチにより、より多くの読者に支持される作品が生まれることを目指しています。
未来の子どもたちに贈るメッセージ
ハレル舎は子どもたちに「本を読んで夢中になれる世界」を提供し続けます。そして、作品「縄文の子」が全国の小学校で読み継がれることを心待ちにしています。出版業界が変わりつつある中、ハレル舎の挑戦に私たちも耳を傾け、応援していきたいものです。
書誌情報とイベント
- - タイトル: 縄文の子
- - 著者: 関口みどり
- - 絵: 谷苑子
- - ISBN: 978-4-911386-01-9
- - 発売日: 2024年11月20日
- - 価格: 1,650円 (税込)
さらに、ハレル舎は、「縄文の子」をテーマにしたイベントも開催予定です。2025年6月28日・29日の二日間、旧国立駅舎を会場に、縄文時代に触れる貴重な体験ができることでしょう。
この作品が多くの子どもたちに届く未来を、私たちも楽しみにしています。