終活を見直す新たな視点
近年、終活という言葉は広まり、自らの人生を見つめ直す重要なフレーズとして注目されています。2025年に実施された「終活に関する意識・実態調査」によると、終活をすでに始めている人の割合はなんと44.0%に達し、その中でも幸福度や生活満足度が高いことが明らかとなりました。これは、終活が単なる準備ではなく、人生の質を高める手段として受け入れられている証拠です。
手放す終活の広がり
調査によると、すでに手を付けた終活で最も多かったのは「年賀状じまい」という結果が示されました。これに続いて「お墓の準備」「資産運用の開始」と続きますが、「金融口座や金融商品の整理」といった経済的な面での整理が最も高い認識を得ています。また、お墓の整理や墓じまいの実施率も上昇しており、従来の「整える終活」から「手放す終活」へのシフトが顕著です。
“〇〇じまい”というフレーズが示すように、物理的なものだけでなく、精神的な重荷も手放すことで、心の安定を得られることが理解されています。特に、高齢者層では「今を生きる」ことへの意識が高まっており、終活は「死に向けた準備」ではなく「今をよりよく生きるための選択」となっています。
終活にかかる費用と生き方の再設計
調査により、終活に伴う費用は平均503万円という結果が出ています。これにより、経済的な準備が重要視されていることが分かります。具体的には、資産運用や自宅のリフォーム、さらには不動産の整理など、生活環境の見直しに関する支出が挙げられます。さらに、調査対象者は死後に残したい金額を平均2451万円と回答しており、この金額は多くの人にとって重要な意味を持つことが伺えます。
幸福度と生活満足度の向上
終活を始めた人たちは、幸福度のスコアが平均で6.48点と、全体の平均6.03点を上回っています。また、終活を開始した人の63.5%は「満足している」または「やや満足している」と回答しています。これは、実際に行動を起こした人が、精神的な満足感を得ていることを示しており、終活がもたらすポジティブな効果を証明しています。
専門家の見解
ハルメク 生きかた上手研究所の所長、梅津順江氏は、「終活はもはや静かな幕引きではなく、今をより良く生きるための選択肢である」と提唱しています。実際、デジタル面での整理を含む現代の終活は、単に物を整理するだけではなく、生活全体を見直す行動に進化しています。
終活への意識の変化
現在、終活を必要と考える人は77.4%ですが、実際に始めているのは44.0%です。このギャップを解消するためには、終活を自らの生活の一部として取り入れ、積極的に行動することが求められています。まずは小さなことから始め、自らが手放したいものを選び取ることが、幸福感をもたらす新しい道です。
終活は経済的な面だけでなく、精神的な面でも新たな生き方を模索する手段として、今後ますます重要になると考えられます。この流れを受けて、自分自身に合った終活のスタイルを見つけ出すことが、多くの人にとっての課題となるでしょう。