日本書籍の海外進出が加速するフランクフルト・ブックフェア
2023年、フランクフルト・ブックフェアにおいて、日本書籍の翻訳出版が新たに決定しました。文化庁がサポートする今プロジェクトは、日本の多彩な活字文化を世界に翻訳することで、海外での理解を深め、作品が広く読まれることを目指しています。
フランクフルト・ブックフェアと日本書籍の結びつき
令和7年度文化庁「活字文化のグローバル展開推進事業」に基づき、VIPO(ヴィーポ)が運営を担当しています。この事業では、日本の豊かな文学作品が世界に発信されるためのサポートを行うことが中心のテーマです。商談会では、ドイツをはじめとする多くの海外出版社と連携して、日本の文化を普及させる取り組みが行われています。
商談会の成果
昨年度の「フランクフルト・ブックフェア2024」では、株式会社講談社とドイツの出版社DuMont Buchverlagとの商談が実を結び、念願の翻訳出版が決定しました。特に注目される作品は、高瀬隼子著の『おいしいごはんが食べられますように』で、この作品は、2026年2月にDuMont社から『Richtig gutes Essen』としてドイツ語版が刊行される予定です。
さらに、同商談会を通じて『光のうつしえ』がスイスのBaobab Booksから2025年4月にドイツ語版として発売されることも決まりました。この作品は、朽木祥によるものです。これらの作品がグローバルに読まれることで、日本の文学が新たな舞台に立つことになります。
作品紹介
『おいしいごはんが食べられますように』は、真面目な性格の押尾が、守られる存在の同僚・芦川に対して抱えるうまくいかない人間関係を描いています。食に興味が持てない二谷が、芦川の手作りお菓子を無理に食べるシーンは、職場の微妙な人間関係を表現しつつ、誰もが共感できるテーマを持っています。この作品は第167回芥川龍之介賞を受賞しており、確かな評価を得ています。
日本文化の普及・発展へ向けて
この取り組みは、ただ作品を翻訳するだけでなく、活字文化の海外展開を支援する姿勢が重要です。日本の出版物が海外の読者に届くことは、文化交流を深め、多様性を受け入れるための第一歩です。会場での商談は、文化庁とFrankfurter Buchmesse GmbHの共催により実施され、今後も日本書籍が世界中に広がることが期待されています。
日本の読者はもちろん、これから翻訳される作品を通じて海外の読者との文化的交流も深まり、互いに新しい視点を持つ機会が生まれるでしょう。この活動が文化の架け橋となり、さらなる成功を収めることを願っています。
【お問い合わせ】
特定非営利活動法人映像産業振興機構文化庁「活字文化のグローバル展開推進事業」事務局E-mail: jppp_vipo@vipo.or.jp