『ロッコク・キッチン』受賞
2025-09-29 15:35:10

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作『ロッコク・キッチン』の魅力とその背景

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作『ロッコク・キッチン』の魅力



2025年度のBunkamuraドゥマゴ文学賞の受賞作が決まり、川内有緒氏の『ロッコク・キッチン 浜通りでメシを食う』が選ばれました。この賞は、1990年に設立されて以来、独自の選考方式で新しい文学を発掘してきたもので、今回の選考を担当したのは最相葉月氏です。

受賞の言葉と作家の想い



川内有緒氏は、自身の受賞に際して、「美味しいスープを煮込んでいます」と語っています。彼女は、福島県の浜通りで実際に出会った人々の食生活や文化を掘り下げ、温かみのあるものを文章で表現しています。12年間にわたり国際協力分野で活躍した後、彼女は物書きとしての道を歩み、数々の賞を受賞する実績を持っている作家です。

『ロッコク・キッチン』は、福島第一原発事故からの復興を描いた作品です。この作品は、浜通りに暮らす人々の日常を「食」を通じて描き出しており、その土地の人々がどのように今を生きているかを探求しています。彼女が記録したのは、彼女自身が味わった家庭料理の数々であり、地域の豊かな食文化を瑞々しく表現しています。

久々の訪問者としての視点



川内氏がこの作品を執筆するきっかけは、原発事故後に避難指示が解除された地区を訪れた際の経験にあります。暗い静寂の中、一軒の家から漏れる光を見ることで、福島の人々が何を食べ、どんな生活をしているのかという問いが彼女の中に芽生えました。それは同時に、彼女自身の「食」に対する関心や、その背景にある人々の声を知りたいという熱望から発生したものでした。今回の受賞に際し、彼女は「スープのような原稿を煮込んでいる」という比喩を使ったことで、まだ完成されていない作品への思いも表現しています。

作品の背景と今後



『ロッコク・キッチン』は、数々の取材を通じて自身の目で見たもの、耳で聞いたことを基に紡がれました。浜通りの人々がどのように震災の影響を受け、その中で何を感じ、どうやって未来を見据えながら生きているのか。その様子は、彼女の筆致によって、私たち読者にまで伝わってきます。さらに、2025年11月にこの本の刊行される予定であるとともに、ドキュメンタリー映画としても制作され、2025年の山形国際ドキュメンタリー映画祭での上映が予定されています。

まとめ



川内有緒氏の『ロッコク・キッチン』は、福島県浜通りに暮らす人々の暮らしを食を通じて描く新しい試みであり、受賞作としての価値を充分に持った作品です。私たちがこの作品を読むことで、震災の影響を受けた地域の現状や、その中で生きる人々の声に耳を傾けることができるでしょう。最相葉月氏の選評もぜひご覧いただき、川内氏の視点をさらに深めてみてはいかがでしょうか。詳細はBunkamuraの公式ページでご確認ください。


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