小林文乃著『カティンの森のヤニナ』特別賞受賞の快挙
2023年3月27日に発刊された小林文乃の歴史ノンフィクション『カティンの森のヤニナ 独ソ戦の闇に消えた女性飛行士』が、ポーランド外務省主催の「最優秀歴史書コンテスト(2025)」で特別賞を受賞しました。この受賞は、日本人作家が初めてこの栄誉を獲得したことでも注目を集めています。
コンテスト概要
「最優秀歴史書コンテスト」は、2017年に創設され、ポーランドの歴史について書かれた外国語の作品を対象に選考が行われます。今年度は2023年または2024年に出版された書籍が対象となっており、2025年11月26日に受賞作品が発表されました。これは、小林文乃さんの文学における重要なマイルストーンとなるでしょう。
書籍の魅力とは
この書籍は、独ソ戦の最大の謎である「カティンの森事件」をモチーフにしています。独ソ戦の混沌とした歴史の中で、女性の犠牲者が一人存在したことは、あまり知られていません。著者はその名もヤニナ・レヴァンドフスカ、彼女は優れたパイロットでありながら歴史の闇に葬られてしまった人物です。
その足跡を辿る旅は、ポーランドのワルシャワ、クラクフ、グダニスク、ポズナンを経て、カティンの森へと続きます。この歴史的な地点は、彼女の人生とポーランドの運命が交差する場所であり、この本は彼女とその家族の物語を通じて、ポーランドの歴史を深く掘り下げています。
受賞の喜び
受賞が決まった際、小林文乃さんは「大変光栄に思います。日本の読者だけでなく、ポーランドや他の国の方々にこの本を知ってもらえることが嬉しいです」とコメントしました。本作の執筆中にはウクライナ戦争が勃発し、「この本がリアルな世界に響いていることを実感しました」と続けました。彼女はこのような時期にこそ、多くの人にこの作品を届けたいと強い思いを語りました。
小林文乃のプロフィール
小林文乃さんは1980年生まれのノンフィクション作家で、これまでに『グッバイ、レニングラード ソ連邦崩壊から25年後の再訪』など多くの著書を手がけてきました。京都造形芸術大学を卒業後、出版プロデューサーとしても活動しています。彼女の作品は、歴史を深く探求するものが多く、今回の受賞もその実力を証明するものとなりました。
書誌情報
『カティンの森のヤニナ 独ソ戦の闇に消えた女性飛行士』は、河出書房新社から発売され、税込定価2,552円で購入可能です。電子書籍版は現在のところ未発売ですが、物語の深いテーマと歴史的背景を是非お手にとって実感していただきたい一冊です。
この特別賞受賞という快挙は、今後の小林文乃の活躍にも期待が寄せられるものであり、彼女の次回作にも注目が集まります。