トランスジェンダーの生きにくさを考える若き著者の挑戦とメッセージ

2025年9月16日、株式会社秀和システム新社から新刊『なぜトランスジェンダーは生きにくいのか 20歳大学生の当事者が語る不都合な真実』が発刊されます。著者は、岡笑叶さんという若きトランスジェンダー（FtM）で、彼の存在と意見が注目されています。彼は13歳でカミングアウトし、15歳で自身の会社を立ち上げ、今では教育機関や企業などで講演を行っています。彼の言葉は、当事者の視点からの真実を語り、多様性の重要性を説いています。

この本では、LGBTQに関する様々な誤解や事実が明らかにされます。特に強調されているのは、「普通」という言葉の使いにくさです。当事者と非当事者の間で意見が分かれることが多い中、著者はそれにバランスの取れた見解を示します。彼は、少数派に配慮することが必ずしも正解ではなく、教育についての見解も新しい視点を持っています。「LBGTQについて教育しなきゃ」と叫ばれる一方で、彼はそのアプローチが逆効果になりかねないことを指摘しています。

岡さんの経験には、彼自身が抱えてきた葛藤や、同世代のトランスジェンダーが直面する現実があります。著者は、「世の中にはオーバーケアがあちこちに存在し、その結果生きにくさを感じる当事者が多い」と訴えています。また、「トランスジェンダー」という LABEL を使うこと自体が不自然であると感じている人も多いとのこと。このような視点から、彼は「違うと感じるものは違う」と断言し、より自由で多様性に富んだ社会が求められています。

目次には、著者が経験したリアルな体験や、カミングアウトの重要性、そして多様性をどのように捉えるべきかについての記述があります。特に「自分で生きにくくしている当事者たち」という章では、多くの人が抱える共通の悩みにも触れられ、自己理解と共感の大切さが強調されています。

著者岡笑叶のプロフィールも興味深いものです。2004年生まれ、関西学院大学に在籍しながら、彼はもうすでに数々のメディアにも取り上げられ、TEDxスピーカーとしても活動を行っています。学校や自治体のコンサルティングも手掛ける彼は、まさに時代を先取りした人物です。

本書は、LGBTQのトピックに興味がある若者や、その家族、さらには教育関係者にもおすすめです。彼が贈るメッセージは、差別のない多様性社会を実現するための一歩になることでしょう。新しい視点からトランスジェンダーの問題を考えるきっかけとなる一冊、ぜひ手に取って感じてみてください。