専念寺の本堂再建を追った新刊『専念寺400年物語、そして未来へ』発売

新刊『専念寺400年物語、そして未来へ』が発売

2025年11月2日、株式会社世界文化社から書籍『専念寺400年物語、そして未来へ』が発刊される。それは、宮城県亘理町に位置する時宗の専念寺の本堂再建に至るまでの貴重な記録を収めたものだ。著者は、同寺院の住職を務める岡由実氏。この本では、英語の併記もあり、日本の伝統文化を海外にも伝える役割を果たすことが期待されている。

専念寺の歴史と背景

専念寺は1606年、慶長11年に建立された歴史ある寺院で、再建の計画は平成29年（2017年）から始まり、令和7年（2025年）には新本堂の開眼供養が行われる予定。今回の書籍では新本堂が建立されるまでの道のりを、五つの章に分けて詳しく記述している。特に注目すべきは、旧本堂が解体される過程や、現場での宮大工たちの技術の素晴らしさだ。

宮大工の伝統技術

この本の内容は、単なる建設の記録にとどまらず、日本の文化そのものを詳しく伝える。第3章では旧本堂の解体作業、仏像の搬出や彫刻の取り外しの様子が詳しく描かれている。多くの職人たちが携わったこのプロジェクトは、宮城県沖地震や東日本大震災といった自然災害を乗り越え、過去の風格を尊重したうえで新たな本堂を築く試みでもある。

新本堂の建立においては、約1年4か月にわたり、延べ4,000人の職人が関わり、その中に2,000人の大工が参加した。伝統的には釘を使わない工法で建てられた新本堂は、未来を見据えた設計になっており、森の恵みを活かした無垢材を使用している。

書籍の詳細

新本堂は、現代の名工である清水福治氏が総棟梁を務め、その造詣と経験が生かされている。本書では、新本堂の木材使用について数学的に示した矩計図や木組み技術の解説も含まれており、専門知識を持たない読者でも理解しやすくなっている。

著者について

岡由実氏は1953年に岩手県釜石市で生まれ、岩手大学を卒業後、翻訳家としても活動してきた。文化紹介活動に参加するなど、国際的にも日本文化を広める努力をしており、現在は亘理町で夫と共に檀家寺の運営に尽力している。

まとめ

『専念寺400年物語、そして未来へ』は、ただの建築記録ではなく、日本の伝統、文化、そして人々の熱い想いが詰まった作品だ。この書籍を通じて、読者は専念寺がどれほど大切な場所であり、どのように人々がその文化を守ってきたのかを感じ取ることができる。是非、多くの方々に手に取っていただき、専念寺の歴史と伝統に思いを馳せてほしい。