第174回直木賞受賞!嶋津輝『カフェーの帰り道』
嶋津輝氏の最新作『カフェーの帰り道』が、名誉ある第174回直木賞を受賞しました。本書は、東京・上野に身を置く少し鄙びたカフェー「西行」を舞台に、女性たちの人生を繊細に描いた物語です。著者は、時代背景を通じて市井の女性の生き様を巧みに表現しており、どこか懐かしく、心温まる物語に仕上げています。
物語の舞台と登場人物
本作の舞台はあまり賑わっていない「カフェー西行」。ここには個性豊かな女給たちが働いています。彼女たちの描写は、時代を代表する女性たちの生き方を映し出すものです。たとえば、竹久夢二風の独特な化粧で客を魅了するタイ子、文学への情熱が届かずに焦りを抱えるセイ、そして面倒見が良いが嘘つきの美登里。さらに、年上の新米女給である園子は、大胆な嘘で周囲を驚かせながら働いています。彼女たちはそれぞれの夢を抱え、やがて自らの道を歩き始めるのです。
時代を超えたメッセージ
『カフェーの帰り道』は、大正から昭和という特定の時代を描写しつつ、その内容は現代の私たちにも通じる普遍的なメッセージを持っています。女性たちの日常や彼女たちの心情は、年月が経っても変わらず、共感を呼び起こす要素です。何気なく過ごす日々の中のきらりと光る瞬間の大切さを、著者は巧みに読者に伝えています。
著者情報
嶋津輝氏は、1969年生まれで、2016年に発表した「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞し、その後短編集『スナック墓場』でデビューを果たしました。本作『カフェーの帰り道』は、彼のキャリアにおいての重要な一歩であり、さらなる成長を予感させる作品です。
書籍情報
『カフェーの帰り道』は、2025年11月12日に東京創元社より刊行されます。四六判の仮フランス装で、定価は1,870円(税込)です。詳細については、
公式サイトをチェックしてください。
この作品は、女性たちの物語がどのように時代の移り変わりとともに影響を受け、また生き続けるのかを考えさせる素晴らしいテキストです。今後ますますの注目が期待される嶋津輝氏の作品を、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。