荻堂顕の『飽くなき地景』が文学賞を受賞
2025年3月5日、水曜日に開催された第46回吉川英治文学新人賞の選考会において、荻堂顕の著作『飽くなき地景』が見事に受賞しました。この著作は2024年10月に株式会社KADOKAWAから出版される予定で、その内容は激動の時代に生きる主人公の心の葛藤を描いています。
受賞の瞬間
荻堂顕は喜びのコメントを寄せており、「素晴らしい賞をありがとうございます。本作は、激動の時代を生き抜いた主人公・治道の人生を一人称形式で描いています」と語りました。彼にとって、三十歳の自分が六十代に差し掛かる主人公の心情をどれだけ精緻に表現できるのかは大きな挑戦だったとのことです。
吉川英治文学新人賞とは?
吉川英治文学新人賞は、毎年全国の作家の中から将来性のある新人を選び、その作品を評価する権威ある賞です。過去の受賞者には藤岡陽子や蝉谷めぐ実、加藤シゲアキなど、名だたる作家たちが名を連ねています。第46回の選考委員には、朝井まかて氏や京極夏彦氏といった著名な作家たちが名を連ね、贈呈式は4月11日に予定されています。
受賞作『飽くなき地景』の魅力
荻堂の新作『飽くなき地景』は、土地開発と不動産事業で成功を収めた旧華族、烏丸家の嫡男・治道が主人公です。彼は、父の築く東京の景観には興味が持てず、一族の守り神である「無銘」の刀に魅せられています。しかし、祖父の死後、父により刀が愚連隊の手に渡る事態が発生。治道は刀を取り戻すため無謀な計画を実行に移し、その過程で東京の風景が変貌する中、「無銘」にまつわる事件が次々と起こります。この物語は、秘密や愛憎劇を通じて一族の歴史を描くノワール作品です。
書誌情報
- - 発売予定日:2024年10月2日(水)
- - 定価:2,145円(本体1,950円+税)
- - 頁数:384頁
- - 装幀:坂野公一(welle design)
- - ISBN:9784041150672
- - 初出:書き下ろし
著者プロフィール
荻堂顕(おぎどう あきら)は1994年に東京都世田谷区に生まれ、早稲田大学を卒業後、数々の職業を経て執筆活動を開始しました。彼は2020年に「私たちの擬傷」で第7回新潮ミステリー大賞を受賞し、以降も次々と話題作を発表してきました。特に、2024年には『不夜島(ナイトランド)』で第77回日本推理作家協会賞を受賞するなど、目覚ましい活躍を続けています。今回の受賞を契機に、更なる飛躍が期待されます。
作品への期待が高まる中、荻堂の今後の活動にもぜひ注目していきたいですね。受賞作『飽くなき地景』がどのような読者の反響を呼ぶのか、非常に楽しみです。