まちをつなぐ「ABCD」: 無縁社会から創縁コミュニティへ
英治出版から、地域再生のための新たな指南書『まちをつなぐABCD』が2026年3月18日に発売されます。この本は、地域の持つ資産を活かしたコミュニティ開発手法「ABCD(Asset-Based Community Development)」を提唱し、多くの人々が直面する「無縁社会」という困難に立ち向かうための実践的な方法を示しています。
コミュニティ開発の新しい視点
本書の著者であるジョン・マクナイトとコーマック・ラッセルは、地域再生の専門家であり、長年にわたって「ABCD」を実践してきました。従来の手法は住民のニーズに依存し、外部の専門家が解決策を提供するモデルでしたが、これは地域住民を単なる受益者に留めてしまうという課題がありました。
そこで提唱される「ABCD」は、土地や住民が持つ「資産」に着目することで、地域の内側からつながりを再生し、「創縁コミュニティ」を育てることを目指しています。これにより、住民同士が主体的に活動し、互いにつながり合って豊かな社会を築く力を引き出します。
実践へのステップ
『まちをつなぐABCD』では、地域が持つ資産を活用するための三つの重要なプロセスが示されています。
1. 発掘する
住民を「サービスを受ける側」から「まちを創る側」として再定義し、地域の「才能」や「資源」を可視化するツールが紹介されます。
2. つなげる
1人の強力なリーダーに依存せず、住民同士をつなぐ「コネクター」の重要性が強調されます。研究によれば、孤立した社会を解決する手段は行政のプログラムではなく、普段の「ご近所づき合い」にあることが示されています。
3. 動き出す
健康や経済、安全、子育てなど、行政が提供してきた機能をいかに持続可能な形で住民の手に返すかという視点が述べられています。
監訳者の視点
東京理科大学の似内遼一氏は、本書が提唱する地域開発の手法に強い共感を示しています。彼は、地域内にある「アセット」に目を向けることの重要性を説き、持続可能な変化を地域の力で生み出す過程が描かれています。読者が自分の住む地域にも宝が眠っていることに気づくきっかけを提供する内容です。
土着のイノベーション
本書は「土着のイノベーション」というシリーズの一環として刊行され、変化は外側からではなく、地域に根ざした暮らしの中から生まれることを強調しています。このレーベルは、人々が自ら地域の課題を解決する力を引き出すことを目指しており、実際の地域変容の実践を多様に紹介しています。
書籍詳細
- - タイトル: まちをつなぐABCD──隠れたアセットを見出し「わたしたちのまち」という感覚を取り戻す
- - 著者: コーマック・ラッセル、ジョン・マクナイト
- - 監訳: 似内遼一(東京理科大学経営学部講師)
- - 発行日: 2026年3月18日
- - 価格: 2,200円
この本が、多くの人々に地域再生のための新たな視点を提供し、各地でのコミュニティづくりに寄与することが期待されます。