2025年有隣堂の年間ベストセラーが示す最新の書店トレンド

株式会社有隣堂が発表した2025年の年間ベストセラーランキングには、現代の書店業界における重要なトレンドが反映されています。本記事では、このランキングをもとに、人気書籍、ZINE展開、そしてYouTubeを活用した新たな販売戦略について深掘りしていきます。

有隣堂全店の年間書籍ベストセラー

2024年12月から2025年11月までの期間に収集されたデータから導かれた年間ベストセラーには、鈴木のりたけ氏による『大ピンチずかん３』が第1位に輝きました。このように、シリーズものの書籍は安定した人気を誇っており、親子で楽しむことができるユニークなコンテンツの需要が高まっていることが伺えます。

実用・学習書部門には、TOEIC対策本の『TOEIC L&R TEST出る単特急金のフレーズ』が2位にランクイン。資格取得を目指す読者の強いニーズを反映しており、社会人や学生の「学び直し」への意識が高まっていることが分かります。また、資産形成をテーマにした『本当の自由を手に入れるお金の大学改訂版』や、科学的な視点から習慣を学ぶ『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明されたすごい習慣大百科』もランクインし、自己成長に対する意欲が見て取れます。

特に注目すべきは、『会社四季報業界地図 2026年版』が9位に入ったことです。これは「有隣堂しか知らない世界」という公式YouTubeチャンネルで行われたライブ販売企画からの影響も大きく、成功事例として注目されています。

ZINEによる新たな展開

次に、有隣堂キュービックプラザ新横浜店の2025年度ZINEベストセラーランキングを見てみましょう。この店は関東圏で最大規模のZINE常設展開店舗として知られていますが、地元の崎陽軒シウマイ弁当をテーマにしたZINEが2位から4位を占めるなど、地域密着の姿勢が顕著に表れています。地元の食文化を称えた内容は、読者の愛着や強い支持を呼び起こしています。

ZINEの人気はますます高まりを見せており、その中には『自分でやってみる人のための校正のたね』のように、自分の創作活動を支援する実用書が上位にランクインしています。これは、ZINE制作者たちの学びの意欲を示しており、作品を作るきっかけを提供する場としてのZINEコーナーの機能も広がっていることがわかります。

YouTubeによる販売戦略

また、公式YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」のR.B.ブッコローグッズも特筆すべき存在です。2025年6月30日にはチャンネル開設5周年を迎え、新商品も高い人気を得ています。特に『R.B.ブッコローブッコニカ学習帳』は、文具とコラボレーションし話題性と実用性を兼ね備え、多くのファンの心を掴みました。これにより、同チャンネルのユーザーが自らのアイデンティティを色情する商品としても受け入れられています。