Z世代は「選択的クリぼっち」を選ぶ
株式会社東洋経済新報社は12月24日に、金沢大学の金間大介教授による新刊『無敵化する若者たち』を発表します。本書では、現代の若者の恋愛観が変化している背景とその心理を掘り下げています。特に注目すべきは、「一人でいることを選択する」ことが若者の主流であるという点です。
恋愛は「リスク」として構造化される
クリスマスの時期、街中はカップルであふれていますが、内閣府の調査によれば20代の独身男性の約4割が「デート経験ゼロ」という現状が明らかになっています。この現象について、本書では「恋愛はリスク」と捉える若者の心理が深く根を下ろしていると説明しています。彼らは恋愛がもたらす「窒息」のリスクから逃れるために、あえて一人でいる道を選んでいるのです。
ネット上での炎上やハラスメントなど、若者が育った環境には数多のリスクが存在します。彼らは、異性との交流に対してさまざまな恐れを抱いており、その結果、異性と会話を交わしたり、陽の目を浴びることでメンタルに与える影響を深く意識しています。「自分がダサいと思われるのは耐えられない」といった恐れが、彼らの行動を制約しているのです。
メンタルの安定が最優先
若者の「失敗したくない」という願望は、恋愛にとどまらず、仕事や将来のビジョンにも波及しています。彼らは「頑張る」こと自体をコストに見なし、社会で根付く価値観に疑問を抱いています。アプローチとして、出世には無関心で、締切に対しても柔軟な姿勢を持っています。権利主張の意識は高まっており、アウトではない反面、依然として微妙に失礼な態度も見受けられます。
このような風潮は、若者が持つ強いメンタルや自己肯定感を生み出す一因ともなり、職場でのコミュニケーションにおいても摩擦を引き起こすことがあります。実際のデータをもとに、なぜこのような「無敵化」が進んでいるのかを深く掘り下げて解説します。
若者の心理の背後にある社会構造
本書は、無敵世代がどのように形成されているのか、その根源的な要因を明らかにすることを目的としています。安定を求めながらも、揺れる内面の葛藤や、変化を目指す姿勢は彼らの本質的な心理です。これを理解することは、世代間の新たな関係構築にとって重要なステップとなるでしょう。
書籍情報
- - タイトル:無敵化する若者たち
- - 著者:金間大介
- - 発売日:2025年12月24日
- - 定価:1,760円(税込)
- - 出版社:株式会社東洋経済新報社
- - 体裁:四六版/302頁
- - ISBN:978-4-492-22433-5
- - 購入リンク:Amazon
本書を通じて、現代の若者が「無敵」だとされる理由を示し、その背後に潜む複雑な心理と社会構造に迫ります。若者たちの新たな価値観を理解し、彼らとの関係を見直すきっかけとなる一冊です。